Urban Innovation JAPAN


残り29

締 切

伊勢市 観光振興課

先進技術で越える!視覚障がい者観光の「ラストワンメートルの壁」

Point

解決したい課題

駅や観光施設に設置されているインターホンやサイネージなどの案内端末へ、視覚に障がいのある方がスムーズにアクセスし、利用できるようにしたい

想定する実証実験

市内の駅などで、視覚に障がいのある方にツールを試用していただき、施設内のインターホンやサイネージなどの案内端末までスムーズにアクセスし、利用できるかを検証

提案企業に求める専門性

・AI(画像解析・音声認識)、歩行ナビゲーションシステム、IoTデバイス開発、UI/UXデザインなどに関する高い技術力や実績。
・社会課題解決への情熱。そして、当事者や行政、地域団体と真摯に向き合い、プロジェクトを推進するコミュニケーション能力。

Story

視覚に障がいのある方におけるラストワンメートルのハードル

外宮参道の様子

 あなたは、視覚に障がいがある方が歩いて観光するのに、どんなハードルがあるかご存じでしょう
か。

 視覚に障がいがある方は、段差や障害物を避けるために、足元に意識を集中して歩かなければなり
ません。
 また、博物館・史跡・景色など観光には「目で見る」体験が多く、バスの時刻やお店の情報を案内す
るためのデジタルサイネージや、助けを求めるための駅などにあるインターホンなども視覚に障がい
がある人が利用しやすい環境とは言えません。

 近年、スマートフォンのナビ機能が向上したことで、目的地の大まかな場所まではたどり着けるようになりました。
 しかし、観光案内端末や困った時に使えるインターホンの正確な位置など、あと少しのところで迷ってしまうことがあります。もし、最後の1メートル内の位置を正確に把握してスムーズに利用できれば、より安心して観光を楽しめるようになるのではないでしょうか。私たちはそう考えて、この課題に取り組んでいます。

バリアフリー観光を推進する街、伊勢市

伊勢バリアフリーマップ

 伊勢市は、東京パラリンピック競技大会の事前合宿でパラ陸上チームの受け入れを行ったことがきっかけで「共生社会ホストタウン」に登録されました。以来、共生社会の実現に向けて、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めてきました。

 また、従来から、バリアフリー観光先進地として官民連携した取り組みもを進めており、これまで、バリアフリーマップの制作や、旅行者それぞれの障がいに合ったサポートを行う有償ボランティアサービス「おもてなしヘルパー」の導入・拡大に取り組んできました。

過去の取り組み①:通信機能付きカメラを利用した遠隔での音声案内の実証実験

 2020年に、視覚に障がいがある方が観光を楽しめるように、おはらい町・おかげ横丁にて、通信機能付きカメラを利用した遠隔での音声案内の実証実験を実施したことがありました。この実証は、視覚に障がいがある方に小型カメラを装着してもらい、ガイドが遠隔で案内をするものでした。

 協力してくださった視覚に障がいがある方からは「ワクワクした」「楽しかった」と前向きな反応をいただいた一方で、他の関係者からは「案内してくれる人によって満足度は異なる」、「室内用の備品を使っているので室外で活用するのはまだ難しい」という意見があり、残念ながら、実装には至りませんでした。

過去の取り組み②:スマートフォンアプリで視覚に障がいがある方の歩行支援

 実は、伊勢市の玄関口である伊勢市駅から外宮へと続く参道には、点字ブロックが設置されていません。これは、歴史的な景観を保護するだけでなく、点字ブロックが車いす利用者にとって障壁となる可能性もあるためなど、複数の理由によるものです。

 当事者団体から、観光地として視覚障がい者が安全に歩けるような取り組みを進めてほしいという声もあり、点字ブロック設置以外の方法で視覚に障がいがある方も安全に移動できる手段を検証するため、2022年にスマートフォンアプリで視覚に障がいがある方の歩行支援を行う実証実験を行うことになり、 行政と協働で長年伊勢志摩地域でバリアフリー観光に取り組むNPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの協力のもと、10名程度の視覚に障がいがある方・介助者に外宮参道を街歩きしながらアプリを体験していただきました。

 協力してくださった視覚障がいを持つ当事者の先進技術への期待や満足度は高く、アプリによる歩行支援には安全かつ観光案内要素の楽しみをみつけることに一定の効果があることがわかりました。また、目的地到着時の精度はGPSの精度に依存することもわかりました。

せっかく案内端末があるのに…「ピンポイントで」たどり着けない!使えない!

 こうした過去の経験を活かして、私たちは新しい切り口の実証実験に挑戦したいと考えています。

 具体的にいうと、駅に設置しているデジタルサイネージのような観光案内端末や、困りごとを解消するためのインターホンなどを、視覚に障害のある方が迷わず利用できるよう、ピンポイントでアクセスできるような方法を実証の中で探っていきたいと考えています。

 駅には、利用者をサポートするためのインターホンやサイネージなどの案内端末が設置されています。しかし、視覚に障がいのある方にとっては、案内端末までの点字ブロックが途切れていたり、そもそも端末の正確な位置が分からなかったりするため、アクセスが困難な場合があります。
 また、インターホンやデジタルサイネージは案内側から声掛けすることもできる場合もありますが、白杖などを利用されていない場合、声を掛け辛いことがあります。また、端末の中には、音を発するタイプもありますが、あまり一般的ではありません。
 事前の情報だけでは、利用したい案内端末の正確な位置を把握し、そこにたどり着くことは難しいのが現状です。

 もし、ピンポイントで目的地にアクセスできるだけの精度をもった技術なら、駅を出た後の活用も期待でき、視覚に障がいがある方も気軽にピンポイントでの町のお店の出入り口や端末をストレスなく活用できるまちになるのではないか、私たちはそう考えています。

誰もが行きたいところに行ける、バリアフリーな観光地を実現したい!

おはらい町

 伊勢市は古くから多くの方をお迎えしてきた観光地です。どんな人でも楽しめるよう、できる限りのサポート体制を整えたい、「少数派だから」とあきらめさせたくない、そういった想いで私たちは事業に取り組んでいます。

 この実証実験は、視覚に障がいがある方が安心して伊勢を楽しむための一歩ですが、その先に、誰
もが行きたいところに行けるバリアフリーな観光地の実現があると信じています。

 私たちは、実証事業に向けたフィールドの提供のための関係団体との連携やこれまで取組んだ経験
の共有など、できる限りのサポートを約束します。貴社の持つ素晴らしい技術とアイデアで、バリアフリー観光の未来を、共に切り拓いていきませんか。

Vision

実現したい未来

視覚に障がいのある旅行者が行きたいところへ行けるような、バリアフリー観光地の実現

得られるもの

・自治体との協働による社会課題解決型ビジネスの実績
・利用者ニーズに基づくプロダクト開発の機会

Outline

実証支援金:最大50万円

実証にかかる実証プロジェクト経費の支払
1件(1課題)あたり50万円上限 ※消費税等も対象

オンライン課題説明会

開催日時:


【開催概要】
◯日時:2025年9月2日(火)15:00〜16:15
◯申し込み方法:お申し込みはこちら
◯開催方法:Zoomミーティング(※申し込み頂いた方に接続先URLをお知らせします。)
◯ 当日プログラム:各課題の担当課とのQAセッションができる貴重な機会となっておりますので、ぜひご参加ください。

本事業についてのお問い合わせは事務局から回答いたしますので、担当課や関係先に直接メール・お電話等でご連絡いただかないようお願いします。

背景

視覚に障がいがある方が、歩いて観光することが難しい理由として次の3つが考えられます。

①観光地の情報が目で見る前提になっている
 案内板やパンフレットは文字や写真中心で、音声や触ってわかる情報が少ない

②行きたい場所までの道案内が途切れやすい
点字ブロックや音声案内が途中で終わる、施設の入口が分からない

③現地の変化に対応しづらい
工事やイベントで通路が変わる、混雑で案内が聞こえないなど、予定通りに動けなくなる

 視覚に障がいのある方にとって、介助を依頼できる人が身近にいたり、ボランティアによるサポートがあったりすれば、上記のような問題は解決できるかもしれません。
 しかし、「時には誰にも気兼ねなく、一人で自由に外出したい」というニーズがあることもまた事実です。

課題(詳細) 駅や観光施設などには、利用者のサポートのためにインターホンやサイネージなどの案内端末が設置されていることがあります。

しかし、視覚に障がいのある方にとって、案内端末まで点字ブロックが途切れていたり、そもそも位置がわからなかったりして、利用したい端末にアクセスするのが困難な場合があります。

インターホンやデジタルサイネージは案内側から声掛けすることもできる場合もありますが、白杖などを使用されていない場合、声をかけづらいことがあります。また、端末の中には、音を発するタイプもありますが、あまり一般的ではありません。事前の情報だけでは、利用したい案内端末の正確な位置を把握し、そこにたどり着くことは難しいのが現状です。

<視覚に障がいのある方が案内端末までアクセスするのが困難な理由>
・どこに端末があるのかわからない。
・端末まで点字ブロックが途切れている。
・音声案内がない、もしくは情報が不足している。
・混雑で点字ブロックをたどりにくい、音声が聞き取りにくい。

<具体的な事例>  
市内の駅においては、利用者にお困りごとがある場合を想定し、インターホンやデジタルサイネージなどの案内端末が設置されいます。
しかし、視覚に障がいのある方にとって、端末の正確な位置がわからず利用するのが困難という状況が発生しており、当事者団体からも改善要望が上がっています。

求める解決策 視覚に障がいのある方が、インターホンやデジタルサイネージなどの案内端末にスムーズにアクセスできるようなご提案をお待ちしております。

具体的には次のようなソリューションを求めています。なお、移動手段は徒歩を想定しています。
・ツールの利用者(視覚に障害のある方)が、スマートフォンやウェアラブル機器などの端末で段差や障害物を察知し、足元に集中しなくても、安全に歩行できる。
・利用者を目的の端末まで、スムーズにナビゲーションできる。

伊勢市では、過去に以下のような実証実験を実施してきました(他課の取り組みも含む)。これらを補完・発展させるような提案や、全く新しい切り口のソリューション、追加機能などを幅広く歓迎します。
・おはらい町・おかげ横丁にて、通信機能付きカメラを利用した遠隔での音声案内の実証実験(2020年)
・外宮参道でスマートフォンアプリで視覚に障がいがある方の歩行支援を行う実証実験(2022年)
・音声案内システム Navilens(ナビレンス)の実証実験

想定する実証実験内容(詳細) 今回の実証実験では、伊勢市内の駅を実証場所とし、当事者団体にモニターとして、実際に提案ツールを利用していただきます。
利用者は、歩行ナビゲーションの一環としてツールを使って案内端末まで歩き、端末をスムーズに利用できるかを検証することを想定しています。

当事者団体からアンケートやヒアリングなどでフィードバックをいただくことにより、主に以下の3点を検証したいと考えています。

・視覚に障がいがある利用者が、目的地(駅構内のインターホンなど)まで安全にたどり着けるか。
・対象ツールの目的地までの案内精度。
・利用者の満足度(ツールの手軽さやわかりやすさなど)

 現時点では、上記のような内容を想定しますが、それ以外にも課題解決の方法があれば広く提案をいただきたいです。

実証実験成功後の発展性 ・この実証を、始まりの一歩として、成果があれば、市内全域の主要観光地への展開を目指します。
・全国の観光地へ横展開できる可能性があると考えます。
提案企業に求める専門性 ・AI(画像解析・音声認識)、歩行ナビゲーションシステム、IoTデバイス開発、UI/UXデザインなどに関する高い技術力や実績。
・社会課題解決への情熱。そして、当事者や行政、地域団体と真摯に向き合い、プロジェクトを推進するコミュニケーション能力。
プロジェクトの進め方打合せ方法 採択後は、1~2週に1回程度のオンラインミーティングを基本とし、プロジェクトを推進します。
提供可能なデータ・環境等 ・実証フィールド(伊勢市内の駅構内など)の提供に向けた関係各所との調整支援。
・実証内容に応じて、地域の当事者団体や交通事業者との連携を市がサポートできる可能性。
・過去に実施した関連実証実験の知見の共有。データや報告書も、可能な範囲で提供。
プログラム終了後の本格導入 実証実験の成果が良好で、事業の継続性・発展性が見込まれる場合には、次年度以降の本格導入を積極的に検討します。

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