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Point
解決したい課題
交通事故現場で得られた資料等から事故状況を特定し、視覚に訴える分かり易いデータをすばやく作成したい。そのデータを安全対策にも役立てたい。
想定する実証実験
Z+F社製の3Dレーザースキャナーで計測・取得した現場道路、車両の3次元点群データと、防犯カメラやドライブレコーダ映像等を組み合わせて事故状況などを再現する。
Story
課題の背景 ~ 交通事故って分かりにくい?
警察では、交通事故の現場に足を運び、事故状況や事故原因を究明し、安全な道路環境の実現に全力で取り組んでいます。ところが、「交通事故」という事象は、その状況を特定することがとても難しいのです。
その理由として、
① 事故をわざと起こす人はいない
② 危険を感じて一瞬の間に衝突する
③ 車同士が相当の速度で衝突する
ことが挙げられます。
簡単に言うと、「あっという間にガシャンッ!とぶつかるので、当事者もよく分からない」という状況がよく起こります。
ドライブレコーダや防犯カメラの普及により、事故の形態を映像で見られることが増加する一方で、昨今の公判では、現場痕跡や車両破損状況などの客観証拠に基づく事故状況の特定が一層求められています。これに対して、事故状況を特定し、それを裁判官や裁判員にも分かり易く伝えるため、山口県警では全国に先駆けて「3Dレーザーシステム」を導入し、緻密かつ科学的な捜査を行っています。
3Dレーザースキャナーで計測したデータを専用ソフトで編集し、計測対象(車両、道路、建造物等)を無数の点の集合体として出力・可視化します。そのデータは3Dデータとして自由視点からの観察が可能となります。このスキャナーと編集ソフトを合わせたしくみを「3Dレーザーシステム」と呼んでいます。
交通事故事件捜査の現状 ~ 視覚に訴える捜査資料が求められています!
山口県警では、3Dレーザーシステムを活用することで、計測データに基づく正確な道路図を作成したり、3Dデータを編集・合成して衝突状況の再現を行うなど、「視覚に訴える捜査」を行っています。
イメージが難しい「交通事故の瞬間」を3Dデータ上で再現することで、事故の原因が明らかになるだけでなく、その事故状況をありのまま表現できます。事故状況の特定は事件捜査の根幹となる部分でとても重要で、重大事件の全容解明に向けて、積極的な活用を図っているところです。
ところが、3Dデータによる衝突再現には、
・現場道路、車両の計測 1~2日
・車両の破損状況見分 1日
・3Dデータの編集合成 2日 計4~5日
と多大な労力と時間を要しています。
現場道路と車両破損状況の詳細な見分を基に、捜査員がイメージした事故状況をデータ上で再現するため、限られた事件でしか再現データを作成できてないのが実情です。計測、車両の破損状況見分に要する時間の短縮は、スキャナー性能、立証措置等の観点から限界があり、データの編集・合成についてはせっかくノウハウがあっても相当の時間を要しており、活用範囲が限られているのが現状です。
求める解決策 ~ 新しいソフトウェアで「早く、綺麗に、分かりやすく!」
交通事故事件の捜査で入手する客観的な資料としては、
・現場道路の3Dデータ(ブレーキ痕などの痕跡含む)
・車両破損状況の3Dデータ
・車両のドラレコ映像、防犯カメラ映像
などがあります。それら資料を基に、先に書いた3Dデータの編集合成に費やす時間と捜査力を軽減し、卓越した知識と経験がなくても「事故の瞬間」を特定できる編集ソフトの開発を望んでいます。
具体的には、上記データを取り込むことで、自動的に
・衝突形態、衝突角度の特定
・衝突前後における車両の挙動解析
・ 衝突速度
などが判明することが理想です。
事故の瞬間をより分かりやすく ~ 交通事故の抑止へ繋げたい!
3Dデータによる衝突再現の作成が効率化されれば、より多くの事件で活用が可能となり、事故状況のイメージを共有した上での適正妥当な刑事処分・行政処分に繋がります。悪質危険なドライバーをなくし道路を利用する全ての人にとって真に安全な道路環境の維持・構築を図っていきたいのです。
3Dデータ空間の中で道路を車が走り、特定した事故の瞬間を動きを追って見られることを想像してみてください。3Dデータなので、様々な視点から事故を見ることができるようになります。そうすれば、すごく分かりやすいですよね!
実際の道路や車両の3Dデータなので、全てがリアルに感じられるはずです。車両の速度に応じて衝突に至る過程が確認できれば、事件捜査でこれ以上ない証拠資料となり得ます。
Vision
実現したい未来
各データから走行速度や事故に至る経緯などを含めた事故形態を詳細に特定し、3Dデータを活用した視覚に訴える証拠資料を作成したい。そのデータを安全講習にも転用してドライバーに警鐘を鳴らし、県民が望む安心で安全な道路交通環境の構築を実現する。
得られるもの
他府県警の交通部門への導入が考えられる。
Outline
実証支援金:最大50万円
1件(1課題)あたり50万円(税込み)上限
背景 | 交通事故は、どのように車両が動き、衝突が起こったのかを出来るだけ詳しく解明することが不可欠である。 しかし、交通事故には道路環境や車両構造、走行速度などの様々な要素が絡み合う上に、それが一瞬の間に起きる事象であるため、「事故状況」の特定が難しい。 |
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課題(詳細) | Z+F社製の3Dレーザースキャナーで計測・取得した3次元点群データや各映像資料を基に事故解析を行い、見て分かり易い捜査資料を作成しているが、多大な時間と労力がかかっている。このため、重大な事故のみに限った対応となっており、機器も十分に活用できていない。 |
求める解決策 | 捜査で収集した ・Z+F社製の3Dレーザースキャナーで計測・取得した現場道路の3次元点群データ ・同スキャナーで計測・取得した車両破損データ を編集・合成し、 ・防犯カメラやドライブレコーダ等の映像データ も活用して、「事故の瞬間」が再現できるソフトウェアを開発してほしい。 |
想定する実証実験内容(詳細) | 実証的にデモを行い、計測・取得した三次元点群データやドライブレコーダ映像等を基に、上記要望に沿うソフトウェアを開発し、実際の現場確認と比較することで、誤差や問題点等を効果検証する。 |
実証実験成功後の発展性 | ・交通事故等での公判で利用可能な資料作成への発展 ・全国の交通事故捜査についても展開が可能と思われる。 |
提案企業に求める専門性 | ・三次元点群データの編集処理技術 ・映像解析 |
プロジェクトの進め方打合せ方法 | プロジェクトの進捗状況や懸念事項に応じて、電話や面接等の最適な手段で打ち合わせや検討を重ねられるとよい。オンラインも可能。 |
提供可能なデータ・環境等 | Z+F社製の3Dレーザースキャナー(IMAGER5016)で計測取得した現場道路、車両等の三次元点群データと、防犯カメラやドライブレコーダ等の映像資料 ※ 実際の事件捜査資料ではなく、実証実験目的に計測、収集したデータ |
プログラム終了後の本格導入 | 段階的な開発・実証を経た上で、予算要求を行い数年後に本格的な導入を目指す。 |
選考基準・スケジュール・よくある質問など
資料請求・新着課題
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