Urban Innovation JAPAN


応募終了

熊本市 復興総室

震災の経験を次代へつなぐ スマホで検索!被災者支援制度の案内ツールの開発

採択企業
株式会社 Civichat

Point

解決したい課題

・種類が多く、制度ごとに対象者が異なる支援制度は被災者にとってわかりにくい
・災害直後は日々制度が更新されるため、窓口職員への負担が大きい

想定する実証実験

・被災者がスマホを使って、該当するすべての支援制度にたどり着ける案内ツールの開発
・制度の変更があった場合に管理者(自治体側)が即応できるシステムの開発

Story

集合写真

2016年熊本地震

 2016年4月14日の前震、16日の本震と28時間のうちに2度も震度7クラスの地震が襲った「平成28年(2016年)熊本地震」では、熊本市の人口74万人のうち把握しているだけでも11万人を超える市民が自宅以外の場所に避難し、13万世帯の人々が住宅に何らかの被害を受け、住宅をはじめ生活の再建が必要となりました。

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パニック状態の窓口

被災した多くの市民が罹災証明書の発行を求めて窓口に並びました。

熊本市では、より的確に支援策を提供する目的で、一般市民向けに住宅の被害に対して発行する罹災証明書のほかにも、店舗や事業所の被害に対して発行する事業者向けの罹災証明書、農地や農業用機材の被害に対して発行する農水産業従事者向けの罹災証明書と3種類の罹災証明書を発行しました。

そのため、罹災証明書の窓口を探すだけでも、市民向けの窓口を設置している市役所の1階と事業所向けの窓口を設置している8階とを複数回往復する市民もいたほど混乱していました。

支援制度はもっと複雑

被災者を支援するため、国、県、市のほか公益財団法人、社会福祉協議会など多くの団体から様々な種類の支援制度が提供されました。被災者支援は、罹災証明書よりもずっと数が多く、対象となるかどうか支援制度ごとに異なります。

住宅の被害と再建方法に応じて支給される支援金等、住まいを失った人に仮設住宅等を提供する制度、そのほか医療機関での窓口負担金の免除や、市税をはじめ国民健康保険料や介護保険料などの減免など多岐にわたります。

また、新しく追加されるものもあれば、対象者が拡大されたり、支援金額が増額されたりするなど、災害直後は時々刻々と支援制度が変わっていきました。

そのような状況に、市職員は日々情報をアップデートしながら、市民対応をするものの、限界がありました。

情報は早くて正確なだけでは足りない

熊本地震を経験し、情報は正確性・迅速性だけでなく、整理して必要な情報をかみ砕いて説明できなければ意味がないと痛感しました。

当時は、支援制度を詳細に記載した支援冊子を印刷して配布していましたが、内容の更新が間に合いませんでした。

被災者は、災害後の避難生活でまともな睡眠もとれずに日々疲れが増していく中、情報を探し出し、対象となるか調べて考え、それらの支援策をもとに家を補修で済ますのか、解体して建て直すのかという大きな決断をしなければなりませんでした。

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もし、支援策をオーダーメイドに案内できたら・・・

全国各地で、毎年災害が起きるようになった今、熊本地震を振り返ると、あの時どうしていればよかったのかと考えます。

先ほどの繰り返しになりますが、ありがたいことに国や県、各団体から被災した市民のため、数多くの支援制度が提供されてきました。それらの制度は、制度開始後に対象者を拡大したり追加したり、金額を上乗せしたり、必要に応じて変更されていきました。

職員はそれらの情報を日々アップデートしながら窓口で市民対応をします。丁寧に説明すればするほど、時間がかかります。そうすると、待ち時間が長くなります。急いで説明しようとすれば、職員側の説明漏れの恐れや市民側の理解不足から申請漏れにつながる恐れもあります。

どちらにしても負のスパイラルに陥る可能性が高いです。

そういったリスクを削減し、より的確に正確に、被災者一人ひとりに寄り添ったオーダーメイドのような案内を、IT技術が職員に代わって提供できれば、どんなによかっただろうかと思います。

集合写真

熊本地震から4年が経過し、窓口来訪者数や申請件数は落ち着きましたが、今のままでは次に同様の災害が起きれば、同じことを繰り返すことになるのは間違いない状況です。

熊本地震を経験した今だからこそ出来る対策に取り組むべきタイミングだと思っています。

ぜひ協力していただけるスタートアップの皆さまの応募をお待ちしています!

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Vision

実現したい未来

被災者の不安を減らすとともに、被災者はよりよい自宅再建方法を選択でき、職員は案内以外の災害復旧に注力でき、早期に復興できる都市を目指す

得られるもの

・地震だけでなく風水害にも活用できるため他自治体へ展開できる
・構築過程は、福祉分野などへ幅広い分野に応用展開できる

Outline

背景 熊本地震の発災から2週間後に、支援制度を集めて載せただけの第1版の冊子を発行した。この第1版は、熊本地震の4年前に起きた「平成24年7月九州北部豪雨」の時にまとめた支援制度の冊子をベースにしたため、2週間という比較的短期間でまとめることができたが、制度が多過ぎてわからないとの声もあった。
支援制度の中には、被災者生活再建支援法に基づく支援金、災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供・応急的な被災住宅の修理制度などさまざまなものがあり、その支援の対象は一律ではなく、制度によって条件が異なるため、窓口や電話対応の中で、被災者一人ひとりに制度の案内をするにも、対応に時間がかかり、窓口の待ち時間が長くなったり、案内がうまく伝らなかったりするケースもあった。
また、災害直後には分からなかった被害の箇所や家屋数など被害の全容が明らかになっていく中で、その被災状況に応じて支援制度の追加や対象者が拡大していった。職員は、日々変わる支援制度の情報をアップデートしながら窓口や電話応対してきたが、全窓口職員への周知は難しく、職員の負担も大きかった。
熊本地震の直後から、東日本大震災を経験した仙台市の事例を参考に、職員でできうる改善策を試みてきたが、冊子の記載方法を見直したり、分類方法を見直したりとできることに限界を感じている。
今後は、コロナなど感染症禍での災害も想定されるため、より一層WEB等のツールの必要性を感じている。
(参考)平成28年熊本地震被災者支援制度(冊子PDF)
課題(詳細) ・被災の状況により、必要な支援が受けられるように作られた支援制度は、罹災区分(全壊、大規模半壊、半壊など)によって対象者や受けられる支援内容が異なる
・対象者の拡大、支援制度の追加など情報が日々変化するため、対応する職員への負担が大きい
求める解決策 ・多岐にわたる被災者支援制度をまとめて、罹災区分や再建方法ごとに整理し、被災者自身が罹災証明書の罹災区分や、再建方法を選択することで、一人ひとりの状況に応じてオーダーメイドに表示して案内してくれるシステムの構築
想定する実証実験内容(詳細) ・支援制度をよく知らない人が、罹災証明書の罹災区分など持ち合わせる情報が少なくても、該当する全ての支援制度に辿り着けるかどうか、構築したシステムを操作・利用してもらうとともに、対象者の変更や制度追加があった場合に行政側が即応できるか実証する。
・また支援制度の検索にどの程度時間を要するか、紙媒体とシステムでの比較を行う。
・支援制度情報は、熊本地震のものをベースに整理するが、風水害など幅広い災害への活用を視野に入れたシステムを構築する。
実証実験成功後の発展性 ・熊本地震をベースに支援制度の分類、整理を行ってシステムを構築予定だが、地震だけでなく風水害にも活用できるため他自治体へ広く展開できると考える。
・構築過程は、被災者支援の分野に限らず、福祉分野など他の行政業務に応用展開できるため幅広い分野で活用できるノウハウを得られると考える。
提案企業に求める専門性 ・利用者(市民)側の操作の簡易性に加え、制度の変更等に対応して管理者(自治体)側の操作の簡易性を提供できる企業
・WEBデザイン(わかりやすい文字表示、全体の色づかい、使いやすいアイコンの大きさ・配置等)を大事にしている企業
プロジェクトの進め方打合せ方法 ・ミニミニ実証実験などテストを重ねて、よりよいものを一緒につくりたい。
・オンライン会議対応可。
提供可能なデータ・環境等 ・これまで整理した全支援制度の冊子データ(Word)
・制度全体をまとめたリーフレット(PDF)
プログラム終了後の本格導入 実証実験後に本格導入に向けた予算化を検討する

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