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神戸市 消防局 総務部 総務課
本当に必要な救急要請に応えられる仕組みづくり
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本当に必要な救急要請に応えられる仕組みづくり(救急搬送を補う民間サービスマッチングなど)
あなたは,いつでも,どこにでも,すぐに救急車が来てくれる,と思っていませんか?
もしかすると将来,あなたの大切な人が急に具合が悪くなって,119番通報したのに一向に救急車が来ない・・・そんな事態が発生するかもしれません。
救急車で緊急搬送しなければ助からない命がある,そんな現場にこそ,救急車を出動させる仕組みを作りたいと考えています。
神戸市の救急の現状
いま,神戸市消防局では33台の救急車が稼働し,救急車は約6分に1回の割合で出動しています。高齢化の進展を背景に,出動件数は増大する一方です。
今から15年前,平成14年3月末の神戸市全人口は約152万人,うち65歳以上の高齢者は約17.8%でした。そして平成29年3月末の神戸市全人口は約154万人,うち高齢者は約27.1%を占め,この15年間でその割合が約1.5倍に増加していることが分かります。
一方,平成14年当時,救急車が搬送した人の数は約5万4千人,うち65歳の高齢者は約2万3千人で42.5%でした。しかし昨年(平成28年),救急車が搬送した人の総数は約6万9千人に増加,うち高齢者は約4万人で約58.7%,つまり,救急車が搬送した人のうち,高齢者が占めている割合が約1.4倍に増加しています。
また神戸市の救急出動件数は,高齢者数の増加と共に増え続けると予想され,2030年には約98,000件を超えると予想されています。
地域包括ケア社会の到来
一方,国は高齢化社会を見据え,「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。地域包括ケアシステムとは,「地域の実情に応じて,高齢者が可能な限り,住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう,医療,介護,介護予防,住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制」とされ,団塊の世代が75歳以上となる2025(平成37年)を見据え,生活支援や地域の支え合いの体制づくりについての検討が進められています。(平成28年版厚生労働白書)
つまり今後,増え続ける高齢者は,身近な地域で支え合う形で日常生活を送ることになります。そして当然,そのような高齢者の方々が病気になれば,症状に応じて適切な医療機関を受診することが求められるようになります。
そのとき,医療機関の受診の全てに救急車が出動しなければならないとしたら・・・?
実際の低緊急の事例
次に,救急搬送が必要ないと思われるような,緊急度の低い事例について見てみましょう。
救急搬送後の医療機関の判断での結果論ですが,神戸市消防局の実態調査では,緊急度が低くかつ軽症の方が40%以上いらっしゃいました。
症状としては,倦怠感で眠れない,数日前から腰痛でとうとう動けなくなった,高齢者が前日の夜に自宅内で転び朝になって病院に行きたい,2日間排便がなくお腹が張る,学生がクラブ活動中にジャンプして足が痛いけれど歩ける,1週間前から倦怠感があって息切れがする・・・
それぞれに様々な事情があって,実際に症状を感じている以上,医療機関の受診を希望するのは当然です。
でも,このような場合に,“今すぐ”救急車でなければいけないと,あなたは思いますか?
もしかすると,こうした場合に救急車を呼ぶことで,今まさに緊急搬送しなければならない人のところに,救急車が出動できなくなってしまうかもしれません。
救急安心センターこうべの稼働
平成29年10月に稼働する,救急安心センターこうべは,「#7119」という電話番号で,24時間365日相談できる窓口です。
ここでは,医療機関の情報提供や,病院受診の必要性,休日や夜間なら翌日の通常の診察時間に受診すればよいかなど,専門の相談員や看護師にアドバイスしてもらえます。
緊急性が低いと判断されれば,その方は自分で医療機関を受診してもらうことになります。
でも。
自力では医療機関に行けない人は,どうしたらいいのでしょう?
-車がないから,家から病院に行けない・・
-足が不自由なので,病院まで介助がほしい・・
そんな人達に,24時間365日,それぞれの症状に応じた,医療機関へ行くための救急車以外の搬送手段の提供が、今後必要になります。
先にも述べたとおり、救急搬送された人のうち、緊急度が低くかつ軽症と判断された人は約40%でした。それぞれの事情があるため一概には言えませんが,救急搬送人員実績と予測に基づけば,単純に見積もった試算でも,緊急性が低く軽症の方は平成28年中の約27,500人から2030年には約33,000人に増加すると見込まれます。
民間搬送の現状
現在,神戸市内には民間搬送事業者と呼ばれる事業者が13事業者あり,傷病者や身体の不自由な方向けに寝台車等での送迎等を行っています。
けれどもこれらは,来てほしいときにすぐ来てくれるサービス体系にはなっていません。予約制だったり,料金体系が距離制や時間制などまちまちだったり,付加サービスによって価格を上乗せする形態がとられていたり,様々です。
そして利用するには,一つ一つの事業者に自分で連絡し,まずサービス内容や料金を調べなければならないのです。
一方,すべての方が寝台車等でなければいけない,ということもないはずです。少し介助を受けられれば自分で対処できる人は,介護タクシー等でよいでしょうし,さらに言えば,歩けるし介助も必要ない人は一般のタクシーでよいのかもしれません。
神戸市消防局の取組み
神戸市消防局では,こうした民間搬送事業への新規参入を促し,事業活性化と継続性確保のために必要な施策を検討するため,実態調査を行います。また,市民のみなさんにとって便利で利用しやすく,広く情報提供できることも課題です。そしてどんなサービスがあって,何が自分に必要なのか,自分の症状に応じて選択できる仕組みがあることも必要です。
目指したいかたち
この高齢化社会で,緊急度が低いけれども,医療機関の受診は必要という人たちが,それぞれの事情や症状に応じた,最適な搬送サービスを迅速に受けられる仕組みが必要です。
また、これからの日本では,日常的な移動の手段を確保できなかったり,高齢のために少しの移動にも苦労する「移動弱者」が増えるのは確実です。
まずは,この神戸の「救急搬送」の分野で,容易に「移動手段を確保する」システムを確立し,日本全国のあらゆる地域・分野 での「移動弱者」の問題解決をしませんか?
そうすることで,真に必要とする人に,救急車を出動させることができるはずです。この仕組みづくりのために,神戸市としてできることは,各種データの提供と分析の検討,民間搬送事業者の皆さんへのヒアリング等の同行,ニーズ把握への協力等です。
この取組は,神戸が初めて踏み込んで考える仕組みです。でも今後,全国で取り組むべき仕組みになっていくはずです。
窓口でもいいし,プログラムでもいい。
もちろん持続が可能になる仕組みであることも必要です。
神戸がまずその第一歩を刻むのです。
神戸に住む人,サービスを提供する民間事業者,そして神戸市が,みんなで手を取り合って,「真に救急車が必要とされる救急要請に応えられる神戸市」にしたい。
誰もまだ,見たことがない仕組みです。
一緒に,新しい“何か”を作りませんか。
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