応募終了
名古屋市 中区役所民生子ども課
日本語のわからない市民でも理解しやすい、スムーズな児童手当の申請手続きを構築したい!
- 採択企業
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- アノルド株式会社
Point
解決したい課題
外国籍の市民の児童手当申請手続きの手間を軽減させると同時に、制度の理解不足を解消し、誤受給などを防ぎたい
想定する実証実験
・区役所に来なくても制度や申請方法がわかるツールの開発実証
・多言語による入力ガイドに従いながら申請できるツールの開発
Story
名古屋市中区は、多様な市民が集まる活気のあふれる街です
外国籍市民も多い中区の多様性に配慮した区役所の実現を目指し、ぜひ一緒に課題解決に取り組んで頂ける方をお待ちしています。
外国籍の市民の児童手当申請の現状
児童手当をご存知でしょうか。中学3年生までの子どもを養育されている方に対して児童手当が支給されます。支給には申請が必要で、お子さんが産まれたり引っ越してきたタイミングで、住所地の区役所の民生子ども課の窓口で申請いただくか郵送での申請を行っていただきます。この児童手当の申請については、外国籍の市民の方も申請が可能です
名古屋市内では、この20年で外国籍の市民が約2倍に増加しおり、中でも特に中区の外国籍の市民の割合は全市平均の約3倍の11.6%を占め、様々な母語の方が居住しています。また、子育て家庭も多いのも特徴で、中区での児童手当の申請件数は、年間で4900件あるうち、外国籍市民からの申請は800件強、約16%を占めます。
名古屋市及び中区の外国人住民数の割合の推移
中区の状況
さらに、児童手当には現況届というものがあり、継続して児童手当を受給するためには、毎年6月末までに提出する必要があり、こちらも窓口もしくは郵送での申請を行っていただきます。
いずれの手続きも日本人の方は、郵送での申請をされる方も多いのですが、外国籍の市民の方はほとんどの方が来庁されて手続きを行っています。
なぜ外国籍の方のほとんどが来庁されているかというと、実は、案内も申請書類もすべて日本語で記載されており、日本語の理解が十分でない方は、何を記載し、何を提出すればいいのかすらわからず窓口に来られるということになります。
では、窓口に来られたらすべて解決するのでしょうか。それもすんなりと行かないのが現状です。どんなことが窓口で起こっているのか、事例を紹介したいと思います。
外国籍の市民Aさんの憂鬱
外国人のAさん及び妻は、日常生活に必要な程度の日本語がわかる程度です。Aさんは、先日子どもが産まれたので区役所に出生届を出しにきました。出生届の手続きが終ったあと、別の窓口にも行くように案内されました。Aさんは、案内されるがまま別の階の指定された窓口に向かいました。
そこは、中区役所民生子ども課窓口です。職員がメモを見てAさんに話しかけます。
「児童手当の申請ですね。こちらの書類を書いてください。」
Aさんは、申請書を見ながら、憂鬱な気分になりました。
申請書は日本語が正式なものとされており、紙の様式に記入するものとされています。
Aさんは思います。日本語のみで意味が分からない。名前を書くにも記入欄は小さいし、そもそもこれは何の手続きだろう。
Aさんは、時間をかけて何とか記入を終えましたが、さらに保険証や口座登録に必要なキャッシュカードの提示を求められ、あまりよく理解しないまま提示します。
職員は、Aさんに制度の説明をしたいのですが、思うように外国語で伝えることができません。
Aさんは十分に制度は理解できませんでしたが、お金がもらえるのであればと思い、黙って説明を聞いたのち、区役所を後にしました。
1年後、Aさんの元に現況届が届きましたが、中身がわからないので放置していたところ、児童手当の振り込みがストップし、ある日また手紙が区役所から届きました。Aさんは、日本語がわからないため状況を確認しに、窓口に行きました。
そこで、職員から「奥さんとお子さんはどちらにいらっしゃいますか?」と聞かれます。実はAさんの妻とお子さんは、半年ほど前に住民票を日本に置いたまま母国に帰っていたので、そう伝えると、職員から衝撃の一言を告げられます。
「児童手当は子どもが日本にいる家庭に支給するもので、子どもが帰国したのであれば支給できません。子どもが出国した後の分の児童手当の返還をしてもらう必要があります。」
あまりの急なことにAさんは驚くとともに、お金を返還することが理解できないと訴え、困り果ててしまいました。
「日本語分からないのに、お金を返すなんて。そもそも仕組みがわからないのに!」
職員は、制度的に返還を要求しなければならないとはいえ、動揺するAさんをみて精神的にもつらい状況になってしまいました。
なぜこのようなことがおきるのか
児童手当の制度の趣旨や要件については、日本人には、ある程度認識されているこの制度ですが、外国籍の市民の方は、十分理解できないまま申請されている状況がしばしばあります。日本語以外にも英語などの外国語の制度説明がありますが、前提の知識や文化的背景を理解していない外国の方にはより丁寧な説明が必要だと感じます。
そこで、日本語を読めない市民には、申請書の記入には職員が付き添い1項目ずつ簡単な英語や日本語で差し指しながら支援をしており、相当な時間がかかっています。このような状況は市民にも、職員にも、時間的、精神的に負荷がかかっているのが現状です。
外国籍の市民の最も多い区として以下のことを進めたいと考えています。
1:外国籍の市民の手続きの時間を短く、効率よくできる環境を作りたい
2:児童手当の趣旨を理解して申請してもらえるようにしたい
3:外国籍の市民目線で安心して手続きをしていただきたい
4:正確に迅速にサービス提供できるよう、事務効率化を進めたい
多様な市民が集まる活気のあふれる街、中区の区役所として、ICTを活用し、言語バリアフリーかつ区民へのホスピタリティあふれる行政サービスの提供の実現に、ぜひご協力いただける企業の方のご応募をお待ちしております。
Vision
実現したい未来
・母語に関わりなく、必要な福祉の手続きや制度を来庁者自らが理解し、手続きを必要最小限な時間で終えられるようになっていること。
得られるもの
・他の申請業務への展開
・本市の全区へ横展開
・当区と同様に外国籍の市民が多く、同様の課題を抱える全国の自治体への展開。
Outline
背景 | ・名古屋市は外国籍の市民が増加傾向にあるが、その中でも中区の外国籍の市民は他区に比べて一番多く、さらにその割合は11.6%と全市の3.8%の約3倍となっている。 ・国籍に着目すると、以前よりも多様化しており、様々な母語の方が居住している。 ・外国籍の市民で子育て中の家庭の場合、児童手当を申請することができるが、制度を十分に理解いただけていないケースが多い。 ・また、児童手当は、子育て中のすべての家庭が申請できるもので、当課の業務で最も件数が多い手続きであり、外国籍の市民の方への手続き記入支援を行うのは能力的にも時間的にも、職員への負荷が高い状態である。 ・一方、外国籍の市民が多いのは一部の区であることから、これまで全市的に多言語の取り組みはなされていなかった。 |
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課題(詳細) |
すべて日本語のため、記入にあたっては職員が支援を終始行っており、双方にとって相当な時間がかかっている状況となっている。 言語面では、市民の国籍も多様化してきており、英語のみでは対応が難しい場合も生じており、手続きの説明に時間を要している。 また、外国籍の市民には制度の趣旨もわからず受給開始しているケースが多いと思われるが、以下の3つの要件を理解する必要がある。 ①. 受給(喪失)要件 |
求める解決策 | ・区役所に来なくても制度や申請方法がわかるツールの開発実証 ・多言語による入力ガイドに従いながら申請できるツールの開発(入力した内容を日本語の様式で出力) |
想定する実証実験内容(詳細) | ・中区役所4階の民生子ども課で児童手当の申請を行う市民が、タブレット端末に母語の様式を表示させて入力ガイドに従い入力・申請するといった実証実験を通し、当課題に関するニーズの把握や解決策の有効性の確認、ツールの改善を行っていきたい。 |
実証実験成功後の発展性 | ・民生子ども課で取扱う児童手当及び保育所利用者の現況届や申請書類様式への応用。 ・申請内容を自動で児童福祉システムへ連携させ、さらなる事務の効率化を目指したい。 |
提案企業に求める専門性 | ・多文化共生や外国籍の市民目線での市民サービスの向上意識 ・外国語への翻訳にあたってわかりやすい表現を使用する等ある程度の知識があること。 ・電子上の申請にあたって、入力のしやすさ、外国語文字(文字化けや人名の文字数の多さ等)への対応について創意工夫や配慮ができること。 |
プロジェクトの進め方打合せ方法 | 業務時間内や状況により時間外の打ち合わせも対応可能な方。(オンライン可) 現状把握のため、必要に応じて現場の状況を見にくることができる方。 |
提供可能なデータ・環境等 | 申請書様式、よくある質問、児童手当における特に外国籍の市民向けの留意点 |
プログラム終了後の本格導入 | 実施結果をもとに子ども青少年局に中区個別の予算要望をしていきたい。 |
選考基準・スケジュール・よくある質問など
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