Urban Innovation JAPAN


応募終了

神戸市 消防局 市民防災総合センター

市民の防災意識を向上!水災害VRの実証開発

採択企業
株式会社理経

Point

解決したい課題

市民の防災意識が低く、市が行っている避難勧告等の情報発信に基づく迅速な避難等が実現されていない。

想定する実証実験

市民に災害の「危険性を安全に」体験してもらう研修メニューの導入

Story

集合写真

避難勧告発令時の避難率をご存知ですか?

2018年の夏、西日本は7月の西日本豪雨を端緒に、台風12号、21号など度重なる災害に見舞われ、市内各地で被害が発生しました。
特に西日本豪雨に見舞われた神戸市灘区では土石流が発生し、自宅の玄関などが泥で埋まり、避難できなくなった住民が多数救出される事態となったのです。

道まで流れ出た土砂。消防署員らが避難を呼びかける様子。
道まで流れ出た土砂。消防署員らが避難を呼びかける様子。神戸市灘区篠原台

その後、神戸新聞が、この土石流災害により重大な被害に見舞われた神戸市灘区篠原台でアンケートを実施したのですが、避難勧告の発令を認識していた世帯は4割、さらに避難勧告に従って避難した住民はうち、2割でした。

避難率に至っては、実は約5%にとどまったのです。

なお、同じく甚大な被害に見舞われた広島市の避難率も3.6%(県立広島大調べ)にとどまっています。

度重なる災害で、市民の防災意識は高まったが…

9月4日に生じた台風21号による被害は、商業施設が集まる神戸の沿岸部のハーバーランドが浸水するなど、甚大なものでしたが、幸いにも人的被害は軽傷5名に留まりました。これは、度重なる災害により結果的に市民の防災意識が高まったことも大きな要因だと考えています。

しかし一方で、内閣府の「防災に関する世論調査」(図1)からも明らかなように、災害が発生しその記憶があるうちは防災意識が高まるのですが、時間の経過とともに薄れてしまう傾向があります。

【図1】大地震に備えて「携帯ラジオ、懐中電灯、医療品などを準備している」と回答した人の割合の推移

【図1】大地震に備えて「携帯ラジオ、懐中電灯、医療品などを準備している」と回答した人の割合の推移
出典:内閣府ホームページ ( http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h19/bousai2007/html/zuhu/zuhu_07.htm )

こうした課題に対処すべく、神戸市民防災総合センターは、定期的に訓練・研修を実施し、数多くの市民に参加頂いてきました。

地震体験

地震体験車「ゆれるん」で阪神淡路大震災や、南海トラフ巨大地震の揺れを体験します。また、映像で、緊急地震速報や津波避難について学習します

地震体験車「ゆるれん」の様子

煙・暗やみ体験

煙が充満した、真っ暗な部屋に入り、誘導灯を頼りに避難することで、煙の怖さや避難方法を体験します

煙・暗やみ体験の様子

しかしながら、今年度訓練に参加頂いた地域防災組織(防災福祉コミュニティー等)の方の平均年齢は70歳程度となっています。地域の若・中年層の参加を含め、より多くの方々に参加を促し、災害の危険性を理解してもらい、防災意識の維持向上を図ることが喫緊の課題と考えています。

また、現在、私たちの提供する水害に関連した防災訓練は、冠水歩行訓練、暴風雨体験等ですが、真水を使うため冬期は実施できません。また、真水で実施するために透明度が危機感の訴えかけに欠けるといった課題も抱えています。

防災訓練に新しい技術を!

私たち市民防災センターは、VRによる防災訓練は、

・目新しさから若・中年層の防災学習への興味を高めること
・時期に囚われることなく没入感や臨場感により意識改革を促せること
・参加者が、VR訓練時の行動選択に対し即時的にフィードバックが得られること

以上の3点から、神戸市民の防災意識の維持向上に大きく貢献できると考えています。

なお、火災用のVRはすでに世の中に幾つかサービスとしてリリースされていますが、洪水等の水災害については、あまり確認することが出来ず、他自治体や地域団体への展開の可能性も秘めています。

一緒に被災者の少ない日本を作りましょう!

ご参加されるスタートアップの専門的なVRの知識に対し、私たちは、専門的な災害対応の知見の提供や、市民による実証体験の環境を用意することが出来ます。実際に、毎年約2,000名へ訓練を提供しています。(表1)

表1 :市民防災センターで開催した防災訓練の参加者数
表1 :市民防災センターで開催した防災訓練の参加者数

これらの豊富な我々の経験を活用いただき、一緒に、効果的な水災害の防災訓練用VRを始めとした、効果的かつ即効性の高い地震・火災等の様々な災害訓練用VRを作り、日本の防災意識の向上に取組みませんか?(編集協力神戸新聞社)

集合写真

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Vision

実現したい未来

市民の防災意識を向上し、市民の被災を最小化したい。

得られるもの

災害のVRプログラムの構築、および神戸市・神戸市民のフィードバック。
水災害に悩まされる自治体への水平展開も見込まれる。

Outline

背景 今年度に入り、風水害の多発・地震の発生など、自然災害が頻発している。これに伴い、市民の被災者を最小化するためには、よりいっそうの市民の防災意識の向上が求められている。
課題(詳細) 市民の防災意識向上を目指すべく、様々な市民研修を実施している。しかしながら、7月に発令された避難勧告に基づき、神戸新聞がアンケート(灘区篠原台)をした結果によると、避難勧告の対象地域に住む住民のうち57%が対象であることを把握していなかった、また、避難勧告が出たことを認識していても、そのうち15%のみが勧告に基づく避難を行っていたなど、防災意識が低い状況が浮き彫りになっている。
求める解決策 水害を体験できるVRの開発を行い、実際に市民向けに研修を提供し、これまで以上に多くの体験者を確保することで、市民の防災意識を高めること
付加的・発展的な要素 単発のイベント等に留まらずに、市民の防災意識が継続的に高まる仕組みづくり
想定する実証実験内容(詳細) 防災福祉コミュニティー等の地域防災組織他と連携し、市民へ、VRを通じた水害の疑似体験を提供する。また、実施後にアンケートを実施し、実際に防災意識が高まったことを検証する。
求めるスタートアップ像 市の職員および市民との対話を通じ、より防災意識の高まりを促すVR環境のデザイン・構築を行う意欲があること。
スタートアップに求める条件 現地(北区の市民防災総合センター)に赴いての打合せや、現地での実証実験の提供が可能なこと
提供可能なデータ・環境等 ・過去の防災研修の内容
・上記研修のアンケート結果
プログラム終了後の本格導入 平成30年度に本施策を通じてプロトタイプの構築を行い、平成31年度の本格導入を目指す。

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