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たくさんのカラスが電線にとまっています

小牧市農政課

カラスに愛される街?数え切れないほどのカラスによる被害を軽減したい!

Point

解決したい課題

緑豊かな小牧山は、小牧市のシンボルである一方で、多数のカラスが生息している。これらが周辺に及ぼす農作物被害、生活環境被害を軽減したい。

想定する実証実験

ICT 等の先端技術による、カラス等鳥類の被害軽減策(追い払いや捕獲等含む)や、ナッジを利用した市民行動の変容(無自覚な餌付けの減少等)

Story

人からも、カラスからも愛される山!?

濃尾平野の中央に位置する小牧山は、小牧市街地の西側に位置する標高約 86m、総面積約21ha の小さな山です。
この山は、織田信長が天下統一に向けて、重要な戦略拠点として小牧山城を築き、織田信雄・徳川家康連合軍と羽柴(豊臣)秀吉が争った「小牧・長久手の戦い」では家康が同城を改修し陣城とするなど、天下人それぞれにゆかりのある山として知られています。

近年の発掘調査で、信長が築いた石垣を発見したことなどから、私たちが思い浮かべる石の城(=近世城郭)のルーツが小牧山にあるとして再評価されるなど、歴史的・文化的に価値のある小牧市のシンボルです。

都市化が進んだ現在では、小牧山は都市部の中にありますが、豊かな自然が残され、春には桜、秋には紅葉など、四季折々の姿をみせる市民の憩いの場として、市民から愛され、親しまれています。
しかしそんな小牧山が、カラスからも愛されていることをご存じでしょうか。

小牧山は歴史的・文化的に価値のある小牧市のシンボルです

小牧市のカラスの現状

近年の都市部でのカラスの増加は、小牧市に限らず、各自治体が一様に頭を悩ませています。
増加を招いている要因として、都市部には餌となる食料(放置された生ゴミなど)が豊富なこと、天敵であるオオタカやトンビといった猛禽類がほとんどいないこと、温暖化で冬を越しやすいことなどが考えられます。

都市部でなおかつ豊かな自然が残された小牧山は、カラスにとっても住みやすい環境となっています。実際に、非常にたくさんのカラスが飛び回っており、周辺一帯のカラスがここを寝床としていることが推測されます。

これらのカラスは日中になると山の外へ飛び立ち、広い範囲内で農作物被害や糞害、ごみのまき散らしといった被害を引き起こしています。朝夕の、空一面にカラスが飛び回る光景は非常に圧迫感があり、周辺住民や小牧山の来訪者から「威嚇された」「怖い」、といった声も多く寄せられています。

また、農作物被害についても、市の東部の丘陵地帯では果樹栽培が盛んで、特に桃については、桃に因んだ地名がいくつもあるほどの名産品となっていますが、これらの果樹も例外ではなく、カラスなどの鳥類による食害対策に苦慮されているようです。市のシンボル小牧山の豊かな自然で育ったカラスが、小牧市の魅力を奪うことに繋がってはなりません。

カラスがさまざまな被害をもたらしている

一年中捕獲、それでも被害は収まらない

市ももちろん何も対策していないわけではありません。小牧山に隣接する市庁舎屋上にカラス捕獲檻を設置し、1年を通じて捕獲・駆除を行っていますが、相手は生き物、特にカラスは非常に知能が高い生物ですので、簡単には捕まってくれません。

その道のプロ(専門業者さん)が精一杯頑張って、年間で 100 羽程度を捕獲・駆除して頂いていますが、残念ながらそれでもなお、農作物や生活への被害、市に寄せられるご意見の減少には繋がっていないのが現状です。

また、令和 2 年度には、東部丘陵地帯において、ドローンを活用し、カラスを追い払う実証実験を実施しました。ドローン飛行中や直後には効果がみられるものの、時間が経てば再び飛来してくることから、更なる技術革新(例えば飛来感知からの追い払いを全自動かつ低コストで行えるような技術的進歩など)を待つものとして実用化は見送りとなりました。

市庁舎屋上にカラス捕獲檻
ドローンによるカラスの追い払いは実用化できず

新たな切り口でカラスに対処したい!

このような現状を踏まえ、私たちはカラスの被害軽減に向けたアプローチとして以下の 3 本の柱を考えます。

1 カラスが山から出ること、カラスが山の周辺に留まることなどを防止し、周辺地域に及ぼす害を防ぐ。
2 カラスの捕獲圧を高めることで、絶対的な生息数を減少させる。
3 カラスの餌を減らすことで、このエリアで生存可能な個体数を減少させる。

それぞれについてご説明します。

1 カラスが山から出ること、カラスが山の周辺に留まることなどを防止し、周辺地域に及ぼす害を防ぐ。
観察する限り、寝床(小牧山)と餌場の間の往来時に、山近辺にある市庁舎や商業施設、鉄塔等に一時的に留まっている、群れを形成しているように見受けられます。(就塒前(しゅうじぜん)集合と言われるものと考えられます。)例えば光や音などを利用し、カラスを誘導することによって、小牧山以外の地点にカラスが留まることを防ぐことができれば、糞害等の被害は直接的に減少させることができます。これらが実現可能な技術はありませんでしょうか。

2 カラスの捕獲圧を高めることで、絶対的な生息数を減少させる。
現行の罠による捕獲では、捕獲実績はあるものの、個体数を減らすまでの効果は期待できません。
より効果的に、より省力的に、そして、捕獲圧をより高めるために、ICT等で活用する技術はありませんでしょうか。

3 カラスの餌を減らすことで、このエリアで生存可能な個体数を減少させる。
都市部には餌となる食料が豊富にあり、カラスの生息数を支えている点は前述のとおりです。これらの市内約 3,500 か所のゴミ捨て場のうち、正確な統計はありませんが、8割程は防鳥ネットや小屋の設置といったカラス対策が行われていますが、残りの 2 割程は何ら対策を行っていないとされています。
こうした活動は、ともすれば草の根的な情報発信に頼りがちですが、ナッジ(行動科学に基づいた手法)等で有効なアプローチはありませんでしょうか。

最後に

カラス被害はおそらく、都市部農村部問わず、全国の自治体共通の悩みです。新しいカラス対策の技術・取り組みを確立することができれば、全国へ広がることも期待できます。
1は短期的、2は中期的、3は長期的な解決策と考えていますが、どれも一筋縄で解決は難しいと考えております。
3 つの柱のどの領域でも結構です。まずは 1 つでもこの実証で前に進めることができれば、我々にとって大きな課題解決です。ぜひお力を貸してください。

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Vision

実現したい未来

カラスの被害の軽減、適切な生息管理、市民の野生鳥獣との向き合い方の意識向上

得られるもの

都市部農村部問わず全国的な課題のため、技術確立に至った場合、他自治体へ事業展開できる可能性が高い。

Outline

背景 小牧市のシンボルでもある小牧山は、都市部の中にあって豊かな自然が残されている一方、カラスにとっても餌が豊富で、天敵となる猛禽類がいない、住みやすい環境となっています。
周辺一帯のカラスが小牧山を寝床としていることが推測され、朝夕には相当の数のカラスが飛びまわり、近隣住民からは糞害や農作物被害のほか、「威嚇された」「怖い」などの意見も多数寄せられています。
本市の対策としては、小牧山一帯のカラスによる被害軽減のため、通年で罠による捕獲を実施、駆除しておりますが、カラスは非常に知能が高い生物であり、被害を減少させるほどの捕獲には至っていないのが現状です。
また、令和 2 年度、市東部の丘陵地帯において、ドローンによる追い払いの実証実験を実施したものの、ドローン飛行時以外はカラス飛来数に影響がなく、実用化は見送りとなりました。
課題(詳細) 大きく課題は優先度の高い順から以下 3 つあると考えています。
1. 生活被害の軽減
寝床(小牧山)と餌場の間の往来時に、山近辺に一時的に留まる習性があると思われ、周辺の環境を悪化させています。周辺に留まることなく、小牧山以外での活動が鈍化させることができれば、そもそもの被害減少が期待できます。
2. 捕獲圧の強化
現行の罠による捕獲では、捕獲実績はあるものの、個体数を減らすまでの効果は期待できず、捕獲圧を高めるための取り組みが必要です。
3. カラスの餌の減少
家庭における生ごみや農地での未収穫作物等が放置されることで、結果的に無自覚な餌やりになっているほか、故意に餌やりを行う者もいるとの報告もあり、これらの餌を減少させることで、生息可能な個体数を減らすことで、最終的に農作物の被害の減少が期待できます。
求める解決策 ・光や音などを利用し、カラスを誘導することによって、小牧山以外の地点でのカラスの活動を鈍化させる取り組み
・センサー等の活用により、より高い効率で捕獲するための装置の開発など、捕獲の効率化、省力化を通じた捕獲圧の向上させる取り組み
・カラスへの餌付け(故意的なもののほか、無自覚な餌やりも含む)の減少や、餌場となっている地点の環境整備(ゴミネットなどの防鳥対策)、ナッジを利用したPRにより、カラスへの餌付けを減少させる取り組み
※小牧山からの追い払いは、他の地点での被害を増やすおそれがあることから行いません。
想定する実証実験内容(詳細) 解決策に資する取り組みを、小牧山近辺の一部、もしくは数箇所で実証を行い、解決策の効果を検証する。
実証を通して、餌場の特定などを行うなど、小牧山を始めとする現状の課題分析を行い、今後どのように本課題に取り組んでいけばよいか、ロードマップが描けることが望ましい。
ただし、これらに限らず、課題を解決するための技術があれば積極的に検討していきます。
実証実験成功後の発展性 技術確立に至った場合、本市の事業導入のほか、成果品の種類によっては、地元農家や団体等への導入が期待できる。また、都市部農村部問わず全国的な課題であるため、他自治体へ事業展開できる可能性が高い。
提案企業に求める専門性 先端技術に関する知識のほか、被害の現状やカラスの習性を調査・把握するために、これらを調査・研究する手法について長けていること
プロジェクトの進め方打合せ方法 打ち合わせは原則としてオンラインを想定
事業の特性上、状況把握のための現地踏査をお願いします。
提供可能なデータ・環境等 要相談(数値に基づいた現状把握手法が確立されておらず、既存のデータで提供可能なものはあまりありません)
プログラム終了後の本格導入 実証実験の結果を踏まえ、費用対効果によっては本格導入の検討が可能。

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