応募終了
仙台市青葉区宮城総合支所 ふるさと支援担当
日本の原風景を守り安心して生活できる地域にするため、野生動物による被害を減らしたい!
Point
解決したい課題
高齢化や過疎化により里山管理が行き届かなくなり、人里に出没するようになった野生動物による農作物や民家への被害をなくしたい。
想定する実証実験
ICT等の先端技術を活用した、野生動物による被害削減のための解決策(追い払いや捕獲等含む)の実証実験
Story
豊かな里山と昨今の課題
里山は、長年にわたる人と自然の関わりを通じて、水田や畑、家屋敷、小川、草原など、多様な自然環境と人の生活が両立する昔ながらの農村の姿といえる。しかし、近年では、中山間地域の高齢化や、生活の変化に伴う都市部への人口流出が進み、人の手が入らなくなった里山が増えたことで、その風景が失われつつあり、また、地域で永年育まれてきた生活の知恵や田植踊などの文化の伝承も難しくなってきている。
宮城地区西部は、作並温泉や定義如来西方寺、ニッカウィスキー仙台工場などの観光資源に恵まれている地域であると同時に、広瀬川上流の美しい渓谷や、鎌倉山など緑豊かな自然に囲まれた里山の風景を残す地域である。
風光明媚な鳳鳴四十八滝の風景
鎌倉山からの作並地区の眺望
しかし、この地域でも、高齢化や過疎化が進み、里山を守る人が少なくなったために、イノシシなどの野生動物が人里に出てきて農作物を荒らしたり、生活を脅かすようになってきている。
野生動物による被害
地域に住んでいる人たちからは、ここ10年ほどで野生動物の被害が大幅に増えて、本当に困っているとの話を聞く。
専業農家I氏
「サツマ芋が全滅だ。収穫直前になると必ずイノシシが全部掘り返して食べてしまう。今年は電柵で対応したのだが、鼻先ではなくお尻側から侵入すると痛くないことを学習したのか、電柵の効果がなかった。どうしたものか・・」
兼業農家A氏
「稲の収穫直前に田んぼの水を減らしたら、イノシシが田んぼで暴れて遊んでいた。獣臭さが全ての稲穂についてしまい全滅だ。食べるわけではなく、泥遊びが目的だというのも腹立たしい・・稲作は儲かる訳ではなく、田んぼをやめようかとも思っている・・」
移住者H氏
「家庭菜園でトウモロコシを作った。孫たちが遊びにきたら食べさせたいと楽しみにしていたのに、サルが来ておいしいところだけを食べていった。出来が悪いところや、ごみだけはしっかりと残していっているところが悔しいが、どうしようもない・・花壇では、イノシシが球根を食べた上に砂浴びをしていった。臭くてたまらない」
子育て中B氏
「最近、通学路上でもイノシシやサルを見かけることがある。大丈夫だとは思うが、万が一を考えると不安だ・・」
これまで、農家では、侵入防止柵や電気柵、箱罠の設置などの様々な対策をとってきているが、野生動物は対応を学んでいくため、根本的な解決策を見出せない状況が続いている。
以下、過去5年間の仙台市での農作物被害に関するデータを示す。イノシシによる被害金額が総額に占める割合が大きいこと、農作物被害の減少傾向があるとはいえないことなどが分かる。(注:令和元年度は、大型台風による被害が大きかったため、野生動物による農作物の被害報告が減少してみえているのではないかと考えられる。)
仙台市の農作物被害件数
仙台市の農作物被害金額
また、野生動物の被害は、農家への影響が大きい問題であるが、近年は、里山近くの一般住宅の家庭菜園や花壇への被害も増えている。農家でない場合、補助制度の対象とならないため、金銭的な負担から対策をとること自体が難しいという話も聞かれ、地域全体が野生動物の対策に苦慮している状況となっている。
以下の捕獲数の増加は、猟友会等の努力によるところは大きいが、イノシシの生息数が増えているためと考えられる。
また、狩猟者の高齢化や減少も問題となっている。
新たな解決策を求めて
高齢化や過疎化が進み、里山の管理、野生動物の駆除や捕獲に関わる人が減少していく中で、これまで通りのやり方だけでは対応が厳しい状況にあり、ICT等の先端技術を活用することによって、人手をかけすぎることなく継続的に野生動物による被害削減に効果のある新たな解決策を見出せないか、大きな期待を寄せている。
原風景を維持しながら安心して生活できる地域を目指して
最後に、私たちとしては、今住んでいる地域の方が、少しでも安心して生活できるようにしたい。そして先を考えれば、この地域で育った子供たちが故郷に定住する、他の地域からこの地域に魅力を感じて移住するなど、日本の原風景 を守りながら、安心して生活できるコミュニティを維持していきたいと考えている。
地域で守られている茅葺屋根の古民家
Vision
実現したい未来
・野生動物による被害を減らし、農作物の被害を減らすと同時に、地域住民が安心して生活できる環境を整える。
・将来的には、この地域で育った子供たちが故郷に定住し、この地域に魅力を感じて移住してくる人を増やしていきたい。
得られるもの
1. 野生動物による被害は日本各地で大きな問題であり、新たな解決策が実証されれば、仙台市内はじめ横展開が期待できる。
2. 実証事業の実施および成果のメディア等への広報効果。
Outline
背景 | ・これまでの日本では、山林は間伐され、里山の周辺には住民の目が行き届いていたため、イノシシなどの野生動物が人里に近づくことは少なかった。 ・しかし、今では高齢化と過疎化が進み、里山の管理が行き届かなくなったため、野生動物はあまり警戒することなく人里に出てくるようになった。そうして、これまで苦労して山の奥で餌を探していた野生動物は、里山や人里にでることで、手に入りやすく美味しい食べ物を得るようになった。 ・野生動物の里山への進出は、精魂込めた農作物が食べられてしまうという損害に加え、農家の意欲をそぎ離農につながったり、農業に魅力を感じない若者が故郷を離れる一因になっている。また、子育て家庭による野生動物による日々の生活への不安の声も。なお、日本の原風景での生活や農業に憧れて移住してきた人たちが、先の見えない野生動物の被害に生活の不安と農業への意欲をなくし、地域への愛着を失っているとの話も聞こえてくる。 |
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課題(詳細) | 高齢化や過疎化により野生動物駆除や里山管理がこれまでのようにできなくなり、耕作放棄地の増加も伴い、以下の問題が生じている。 ①野生動物が里山や人里へ侵入することで、農作物被害や日常生活の不安。 ②農業従事者の経済的被害と、農業への意欲減退。農業および地域に魅力を感じられず若者が故郷から出てしまうことや、移住に対する不安感。 野生動物による被害の問題を軽減することで、地域が陥っている悪循環を解消したい。 |
求める解決策 | 高齢化や過疎化が進み、里山の管理、野生動物の駆除や捕獲に関わる人が減少していく中で、これまで通りのやり方では野生動物による被害はなかなか減らず、根本的な解決になっていないため、ICT等の先端技術を活用した新たな野生動物の被害削減に関する解決策を求めている。 |
想定する実証実験内容(詳細) | 【対象】様々な野生動物の被害があるが、最も被害の多いイノシシ対策をメインとしたい。 【手法】手法は問わないが、ICT等の先端技術を活用して、地域住民の負担が少ない手法を検討したい。 【対象エリア】宮城地区西部(作並・新川・大倉)での実証を想定しており、効果がある場合は他地域への展開を図っていく。 【協力団体等】地域町内会等 |
実証実験成功後の発展性 | 実証実験が成功した場合、仙台市西部地域全体へ導入し、更には全国の自治体への展開も期待できる。 |
提案企業に求める専門性 | ・一般的な野生動物による農作物被害や里山管理問題に関する知識があることが望ましいが、少なくともその解決にむけた意欲・興味関心を持っていること。 ・これまで、侵入防止柵、電気柵、箱罠等の様々な解決策がとられてきたが、ICT等の先端技術を活用した、一方で自治体や地域住民が継続的に活用しやすい 新たな手法を期待したい。 |
プロジェクトの進め方打合せ方法 | 通常はオンラインでの打合せを想定しているが、必要に応じて、現地の状況などをご案内しながら打合せができる。 |
提供可能なデータ・環境等 | 先端技術を活用した宮城地区西部の課題解決計画(https://www.city.sendai.jp/aobashinko/documents/keikaku_1.pdf) |
プログラム終了後の本格導入 | 効果が期待できる場合、予算化して、仙台市として本格的に導入する可能性が十分ある事業と考える。 |
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資料請求・新着課題
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