Urban Innovation JAPAN


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豊岡市 コウノトリ共生部農林水産課

ICT活用でスマート農業を押し進め、「コウノトリ育む農法」を広めたい!

Point

解決したい課題

無農薬栽培のハードルとなる除草作業を省力・省人化することにより、生産性向上と農家の所得向上を図りたい。

想定する実証実験

自動航行ロボットによる水田での除草実験

Story

集合写真
田んぼ1

それは、コウノトリとの約束から始まった

私たちは、一度は絶滅したコウノトリを飼育下で増やし、かつての生息地である人里に帰していくというプロジェクトに取り組んでいます。

かつて、コウノトリは日本の各地で暮らしていました。しかし、銃による乱獲や、戦後の日本の高度経済成長にともなう開発などによって湿地や湿田環境が減少し、さらに農薬の大量使用でエサとなる生きものが激減し、1971年、日本の空からコウノトリは姿を消しました。豊岡は最後の生息地でした。

1965年に野生のコウノトリを捕まえ、「いつか空へ帰す」と約束し、人工飼育が始まりました。

繁殖は苦難の連続でしたが、1989年、人工飼育の開始から25年目の春、初めてのヒナが誕生しました。2005年9月、飼育している5羽のコウノトリを放鳥し、私たちはコウノトリとの約束を果たしました。今では、200羽を超えるコウノトリが日本の空を自由に飛んでいます。

コウノトリグラフ

生き物を育む「コウノトリ育む農法」

コウノトリを再び空へ帰すための取り組みが始まり、生息地となる水田や河川の自然再生、人工の巣の設置、そして無農薬によるコメ作りも始まりました。

コウノトリは生きていくために大量のエサ(魚や虫、ヘビ、カエルなど)を必要とします。コウノトリの主な生息地である“田んぼ”を“生きものいっぱいの田んぼ”にしなければなりません。コウノトリ復活のプロセスで、最も変わらなければならなかったものが“農業“だったからです。

コウノトリ育む農法

「コウノトリ育む農法」は農薬や化学肥料に頼らず、おいしいお米と多様な生き物を同時に育みます。 6月頃、田んぼの水を抜く時期(中干し)を遅らせることによって、オタマジャクシはカエルに変態し、ヤゴは羽化してトンボになります。カエルやトンボは稲作にとって害虫と呼ばれるカメムシやバッタなどを食べるため、殺虫剤を使わなくてもお米作りができるようになりました。

そして、生きものでいっぱいになった田んぼには、コウノトリが舞い降ります。多様な生きものが絶妙なバランスでつながり合う田んぼ、それが「コウノトリ育む農法」の田んぼです。

コウノトリ育む農法

安全安心とのトレードオフ

このように、コウノトリも住める環境づくりのために、豊岡の農家は決して生産性が高いとは言えない農法と“折り合い“をつけながら取り組んでいます。

 稲作農家にとって田んぼの雑草駆除は、収量減収につながるために欠かせない作業です。一般的には除草剤を使用することで簡単で確実に駆除することができます。

しかし、コウノトリ育む農法(無農薬栽培)では除草剤を使用しません。そのため、田植後の除草作業に時間と労力がかかります。乗用除草機は200万円以上する高額な機械なのですべての農家が保有している訳ではありません。機械を保有していない農家は、田んぼの中を歩いて、雑草を抜きますがこれがとても重労働なのです。

除草

農家の取り組み

今回ご協力いただくのは、豊岡市日高町の神鍋高原で水稲生産をされる、ユメファーム代表青山直也さん(44歳)。

平成23年に就農され、コウノトリ育む農法による安全安心で美味しいお米作りを続けておられます。

標高250mの神鍋高原は、昼夜の気温差があり、豊富で冷たい水のおかげで、おいしいお米作りの条件が揃っていることに加えて、どん欲に技術・知識の向上もはかっており、平成28年には「米・食味コンクール国際大会総合部門」で金賞を受賞され、以降も毎年上位入賞を果たしておられます。

平成29年にはグローバルGAP認証取得、平成30年からは豊岡市スマート農業実証プロジェクトへの参加、農地管理システムZ-GISの導入など、新しい技術等にも積極的に取組んでおられます。この他にも、常にアイデアの具現化を考え、ないものはDIYで製作するなど、探求心が高く、これからの豊岡市の農業を牽引していただく農業者のおひとりです。

青山さんは、今回のテーマの除草に関してもご自身でラジコンボートに鎖をつけた除草マシンを開発して取り組んでいます。このマシンの改良もしくは、よりよい除草ロボットを目指して共同開発できればと考えています。

ボート
ボート2

農家の課題を解決するスマート農業

農業者の高齢化が進み、圧倒的にマンパワーが不足してくることから、今後、スマート農業が欠かせません。

しかし、豊岡の農地では大型の無人農機が活躍できるような条件でもありません。派手さはなくても、確実に農家の役に立つスマート農業が必要です。本市では、2年前に水位センサーによる水管理省力化実証を行い、コウノトリ育む農法の省力化にむけた取り組みを進めています。

今回、雑草駆除でスマート農業が実現できれば、本市のコウノトリ育む農法の面積拡大はもちろんのこと、無農薬栽培に取り組む農家に注目される技術になることは間違いありません。

農家の皆さんは口々に「田んぼにもルンバのようなものが欲しい」と言います。ぜひこの願いをいっしょにかなえませんか?

集合写真

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Vision

実現したい未来

ICTを活用したスマート農業で農家をサポートしたい

得られるもの

無農薬栽培の分野での省力化支援で、商品に対する訴求力が向上し、無農薬栽培を実践する農家や自治体の関心が高まる。

Outline

背景 絶滅したコウノトリの最後の生息地である豊岡では、人工飼育下や野外で繁殖したコウノトリを200羽以上、日本の空へ帰してきました。コウノトリが住みやすい環境を作るため、水田や河川の自然再生、人工巣塔の設置、そして虫、ヘビ、カエルなどが住む田んぼを作るべく、無農薬によるコメ作りも始まりました。
そんな農業に「コウノトリ育む農法」と名前をつけました。
農薬や化学肥料に頼らず、おいしいお米と多様な生き物を同時に育みます。
ただ、豊岡の農家がすべてこの農法で育てているわけではありません。全体の1割ほどです。兼業農家が多いことや、無農薬栽培に手間がかかること、特殊な苗を使わないと行けないことなど、理由はいくつかあります。
市としては、この農法を広げたいと考えていますし、この農法で作ったお米をブランド米として国内外で売っていきたいと考えているので、少しでもハードルを下げ、多くの人にコウノトリ育む農法に切り替えてほしいという状況です。
課題(詳細) ① コウノトリ育む農法(無農薬栽培)の収量向上
雑草が生い茂るため十分な肥料吸収ができず、収量が低下してしまう。
② 農業者の高齢化等による労働力を補う
重労働や機械作業が困難になりつつある。
③ 生産性の向上
高齢化等による離農により限られた人員、時間を最大限有効に活用する必要がある。
求める解決策 自動航行可能な除草ロボットの開発
想定する実証実験内容(詳細) コウノトリ育む農法で栽培されている水田での除草実験
実証実験成功後の発展性 他の無農薬栽培農家や別の自治体へ展開できること
提案企業に求める専門性 GPSなどを活用して田んぼをもれなく航行できる技術
(あると嬉しい)水稲栽培技術に関する知見
プロジェクトの進め方打合せ方法 市内の農家で、ラジコンボートを使った雑草を駆除している方がいらっしゃるので、これまでの知見を共有し、共同開発できるとありがたい。(ラジコンボートへの機能アドオンも可能。)オンライン会議対応可能。
提供可能なデータ・環境等 コウノトリ育む農法栽培技術体系、ラジコンボート除草製作経緯
プログラム終了後の本格導入 今回の実証の効果を検証し、来年度以降の導入・普及を検討

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