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Point
解決したい課題
介護施設等の入所調整は、各施設が個別に行っているが、関係機関の情報連携が困難であるために、入所希望者の状況把握等に多くの手間と時間を要し、入所希望者、施設側、双方に不利益が生じている。
想定する実証実験
島内の介護医療関係機関が日常的にオンラインでコミュニケーションをとることができるサービスで、関係機関のコミュニケーション量を増やし、施設をまたいだ施設入所・移動等の情報連携の基盤となるエンゲージメントの構築ができるかを検証
Story
周防大島の介護の未来は?
日本の総人口は減少に転じましたが、高齢者人口の占める割合は増加していくとみられています。
特に都市部では高齢者人口が急速に増加し、元々高齢者人口の多い地方でも緩やかに増加するとみられています。また、少子化の影響もあり、2025年以降、15歳から64歳までの生産年齢人口の急減が顕著になってくると予想されています。
上の図を見ると、年齢が上がるに連れて介護が必要になる高齢者も増えていくことがわかります。つまり、介護需要は増えていきますが、それを支える介護人材が不足していくのです。
山口県の東部に位置し、瀬戸内海で三番目に大きな島、周防大島も、決して例外ではありません。島の人口は減少し続けており、高齢者人口は下げ止まり若しくは微減する傾向にあり、生産年齢人口の減少に歯止めがかかりません。高齢化率はすでに55%を超えており、さらに上昇する傾向にあります。
介護人材にいたっては、すでに島内だけでは確保が難しく、島外からも確保しているのが現状です。
そういった中で、介護サービスは今のところ需要と供給のバランスが何とか保たれていますが、いずれは需要が供給を下回ったり、介護人材の不足などにより、介護事業者は撤退を余儀なくされる恐れがあります。
介護施設間の調整が難しく、入所希望者がやむなく島外へ…
島内に特別養護老人ホームは4施設あり、どこも以前に比べ入所待機者が減少しており、経営維持に危機感を持っています。また、近年のコロナ禍の影響により、経営状況は悪化しています。
入所者の調整は、各施設が個別に行っていますが、待機者は入所を待つ間に、入院していたり、他の施設に入所していいたりと、生活状況や身体的状況が変わっていることが多く、それを把握するのに多くの手間と時間がかかり、負担となっています。
こうした施設側の問題が入所希望者にも影響されます。島内に居住している方が、介護施設へ入所しようとするとき、島内のできるだけ近くの施設を希望されることが多いですが、入所を急がれている場合は、島内に空き施設がなければ、やむなく島外の施設へ入所するといったケースもあります。速やかに希望する施設に入所できる仕組みがあれば、希望をかなえてあげることができたはずなのに、ほんとに残念です。
入所待機者の減少は、こうした仕組みを構築していくチャンスかもしれません。
システム基盤もだけど、その前に信頼の基盤づくりを
介護施設へ入所したい方の希望を第一にかなえ、介護施設の負担を軽減するためには、介護施設の空き状況や施設入所を希望する方の入退院の状況などを介護・医療関係機関がお互いに速やかに情報を共有する必要があります。
とはいえ、世の中には介護に関わるシステムは数多く見られるものの、ただシステムを導入して解決するかといえば、そうではないと思っています。
決して小さくない島の中で、毎日顔を合わせることがあるわけではなく、しかも自分たちの施設や組織以外の人たちと情報共有を行うには、まずお互いの顔が見え、交流を深め、「こんな出来事あったのを、この人たちにはぜひ知らせたい」と自然と思えるようになる信頼の基盤づくりが必要になるはずです。
そのために、まずはデジタル・ツールを導入して、介護・医療機関相互のエンゲージメントを向上するところから始めたいと考えています。
周防大島・未来への展望
はじめにご紹介したとおり、今後、都市部においては高齢者人口が急速に増加し、介護サービスを受けたくても受けられない〝介護難民″が増えるであろうと予測されています。
周防大島は「瀬戸内のハワイ」と呼ばれ、全国にその名を知られるようになってきました。町は「たのしい島 住みたい島 いきたい島」を町政の目標に掲げ、全国からの移住施策にも力を入れています。老後は、周防大島でのんびり過ごしたいとお考えの方もいると思います。
もしも、今回の課題を克服して入所調整を円滑に行い、希望される方が入所したいときにすぐに入所できる体制が整えられたなら、島外からの入所受け入れも円滑に進めることができます。そうなれば、都市部から周防大島へ、シニアの方々にとって、もっと安心した移住となるかもしれません。
「瀬戸内のハワイ」周防大島を、高齢者誰もが安心してゆったり暮らしていける島にするために、共に考えていただけませんか!
Vision
実現したい未来
介護医療関係機関がエンゲージメントを高め、連携し、入所希望者等の入退院・移動等の情報を共有し、適時適切な連絡調整が可能となる仕組みを構築し、速やかに必要なサービスを受けられ、希望する所で安心して生活できるようにする。
得られるもの
例えば中山間地域など、物理的に地区間の移動に時間がかかってしまうケースは全国多々ある一方、こうした地域へのオンラインでのコミュニケーションまわりのソリューションはまだ少なく、本実証のノウハウを使った他地域への展開は可能性としてありえる
Outline
実証支援金:最大50万円
1件(1課題)あたり50万円(税込み)上限
背景 | 周防大島町には、高齢者の住居・介護サービス・医療等を提供する入所・入院施設として、特別養護老人ホーム4施設、介護保健施設1施設、介護医療院1施設、グループホーム7施設、養護老人ホーム1施設、軽費老人ホーム1施設、有料老人ホーム6施設、サービス付き高齢者向け住宅2施設、生活支援ハウス2施設、入院可能な病院が4施設(うち町立病院2施設)ある。 島全体の高齢者人口の減少に伴い、各施設を取り巻く環境も変化しつつあり、これまでどおりの自施設の継続運営の視野だけでは立ち行かない問題も出ている。 |
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課題(詳細) | 特別養護老人ホームは、ほぼ定員を満たしており、入所希望者は待機を余儀なくされている。そのため、複数の施設に入所申し込みをしている者もある。 介護保健施設は本来⼀時的な入所施設(入所期間3か月)であるが、現状では入所が長期化しているケースがある。 特別養護老人ホームや介護保健施設から入院となる者や入院から特別養護老人ホームや介護保健施設、介護医療院へ入所となる者もいる。 もちろん、在宅からそれぞれの施設へ入所、入院となる者もいる。 特別養護老人ホームへ入所中の者が入院した場合、退院後の居場所を確保するため施設側は3か月間、ベッドを空けておかなくてはならず、その間の介護サービス費は入ってこないため、経営を圧迫する状況となっている。入院した入所者の医療情報(3か月以内の退院が可能か)が早期に確認できれば、すぐに次の入所者を調整することができ、経営圧迫を軽減することができると思われるが、情報共有・連絡調整が取れていない。 また、介護保健施設においては、入所が3か月を超え、他施設への入所が可能な者でも、介護認定の結果や家庭的・経済的理由などで適切な入所先がなかなか見つからず、介護保健施設への入所が長期化しているケースなどがある。 上記のように様々な事情がある中で、施設への入所調整は各施設が個別に行っているのが現状であり、入所待機者が既に別の施設へ入所していたり病院へ入院していたりといった生活状況の変化や、介護状態や病状といった身体的状況の変化を再確認するのに多くの手間と時間がかかり、大きな負担となっている。 入所調整に時間がかかれば、その分、施設のみならず、入所希望者にも不利益を与えてしまう。 |
求める解決策 | デジタル技術を活用し、島内の介護医療関係機関が、日常的にオンラインでコミュニケーションをとることができるサービスを利用することで、関係機関相互のコミュニケーション量を増やし、施設をまたいだ施設入所・移動等の情報連携の基盤となるエンゲージメントを構築し、入所調整の無駄を省く。 |
想定する実証実験内容(詳細) | 1.各関係者へのツール利用に関する説明、導入の補助 ・単なるマニュアルの送付のみではなく、実際に現場に赴いての説明を想定 2.行政および各施設との協議会での課題認識のすり合わせ、および共有する情報(テーマ)の決定 3.各関係者との円滑なコミュニケーション・コミュニティづくり支援 |
実証実験成功後の発展性 | 例えば中山間地域など、物理的に地区間の移動に時間がかかってしまうケースは全国多々ある一方、こうした地域へのオンラインでのコミュニケーションまわりのソリューションはまだ少なく、本実証のノウハウを使った他地域への展開は可能性としてありえる |
提案企業に求める専門性 | ソリューションに関する技術的な知見を求める (福祉・介護分野に関する知見は、あるとなおベター) 単なるツールの導入だけでなく、二人三脚での支援の知見をも望む |
プロジェクトの進め方打合せ方法 | オンライン会議の対応可 (ただ、必要に応じ現場への訪問は希望) |
提供可能なデータ・環境等 | 役場にて保有するデータ・情報は実証の中で必要に応じ提供します。 |
プログラム終了後の本格導入 | 有効性の確認やサービス内容が具体化された段階で、予算措置等、継続利用の検討を図る。 |
選考基準・スケジュール・よくある質問など
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