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豊中市 消防局 救急救命課

救急の知識を広めたい!アクティブシニアへの普及加速の実証実験!

採択企業
株式会社HYPER CUBE

Point

解決したい課題

応急手当の必要性やその方法、いざという時の相談先などの救急情報の啓発ができていない。

想定する実証実験

市民の救急環境に対する意識を調査・分析し、効果的な救急情報の普及啓発ツールや仕組みをつくるなどの実証実験を、まずはアクティブシニアにターゲットを絞り具体的な検証を行いたい。

Story

1人でも多くの命を助けたい

当市は市民や事業者の皆さんの救命意識が高く、救命講習修了者数の人口に対する割合が全国トップレベルとなっています。市内のどこでも、市民や事業者の手で応急手当が行われ、駆け付けた救急隊の救命処置へと確実につないでいける環境が築かれています。

また、当市が属する豊能二次医療圏は、高度な救命処置を担う医療機関が充実しており、千里救命救急センターのドクターカーの運用などにより、救命に最適な体制が整えられています。

このように、市民、事業者、救急隊、地域医療の連携により、世界で一番といえるほどの救命率であったことから、平成22年1月に「救命力世界一」を宣言し、「世界一安心・安全なまちとよなか」をモットーに救命講習受講者数、年間20,000人を目標とし、応急手当率向上に力を入れてまいりました。

平成22年から10年間は救命講習受講者数、年間20,000人の目標を達成してきました。

10年が経過し、救急を取り巻く環境が変化した

この10年間で高齢化がさらに進み、2025年問題も目前に迫るなか、応急手当が必要な心肺停止事案を分析すると約80%が高齢者という状況になりました。また、心肺停止前の健康状態は70%の方が良好または自立できている状態となっています。

高齢者の心肺停止事案は、約65%が自宅で発生しており、自宅での応急手当率が約40%と低いことがわかりました。令和4年度の救命講習受講者を分析すると高齢者の救命講習受講率は5.7%と低く、高齢者にアプローチできていないことがわかりました。

令和4年には、66歳の男性が自宅で心肺停止状態になった際に救急隊が到着するまで、妻が心肺蘇生法を行い、救急隊到着後心拍再開し、社会復帰するなど、近年、健康寿命の延伸と医学の進歩により、過去5年間で41名の高齢者が心肺停止状態から社会復帰しております。

これらのことから高齢者へ応急手当を普及啓発することにより、さらに多くの命を助けることができると考えております。

心肺停止は自宅で起きている

心肺停止事案を分析すると、66%が自宅で起きています。当市の応急手当率は約50%ですが、自宅での応急手当率に限ると約40%と低くなっています。

これは救命講習の心肺蘇生法が公衆での心肺停止を想起させるものとなっており、いざ自宅で発生した場合に一人で対応することとなると冷静に対応できないと考えられます。

救命講習は大切な人たちを助ける知識であることを知っていただくことが重要です。また自宅で発生することを幅広い世代に知っていただくことにより、救命講習受講者数20,000人/年の効果が高められると考えます。

心肺蘇生法の重要性を知ってもらいたい

心臓が止まると10秒あまりで意識がなくなり、3~4分以上そのままの状態が続くと脳の回復が困難となります。心臓が止まっている間、胸骨圧迫によって、脳や心臓に血液を送り続けることで心臓の動きが戻った後に後遺症を少なくすることができます。

また、心臓が止まると命が助かったり、社会復帰できる可能性が時間とともに減っていきます。しかし、その場に居合わせた人が心肺蘇生法を行った場合には、その減り方が緩やかとなります。

当市の救急隊の到着時間の平均は、約6分で、救急隊到着まで心肺蘇生法を行われなければ、救命の可能性は10%以下となるとともに、助かった場合でも後遺症が残る可能性が高くなります。

救急隊には気管挿管や薬剤投与など高度な救命処置が可能な救急救命士が搭乗しておりますが、命を助けるためには救急隊が到着するまで、その場に居合わせた人の心肺蘇生法が非常に重要です。

救急車は貴重な医療資源であることを理解してもらいたい

当市では、11台の救急車を24時間365日運用し、当市人口約40万人を守っています。

救急出場件数は年々増加の一途をたどっておりましたが、コロナ禍では減少に転じました。増加傾向は落ち着くかと思われましたが、令和4年中は再び増加し、過去最高件数の26,199件となりました。このまま救急件数が増加すると、重症者など救急車が必要な事案に迅速に対応できなくなる可能性があります。

救急出場を年齢別に分析すると、65歳から急激に増加することがわかりました。第1次ベビーブーム世代が2025年に後期高齢者に、2042年には第2次ベビーブーム世代が後期高齢者になることから、今後も救急出場は増加することが見込まれています。

また、救急出場の約60%は軽症(病院で診察後帰宅できる)です。これは、核家族化し、いざという時の健康不安を相談できる相手がいないことが原因の一つだと考えています。

大阪府は、いざという時の救急相談窓口「救急安心センターおおさか」を運営しており、看護師が救急相談や医療機関案内を行い、相談内容から救急車が必要と判断した場合は、指令センターに電話を転送し、救急出場が可能となっています。

救急相談から救急車が必要となった事案は、相談件数の3.7%で、非常に効果が高い事業となっていますが、当市の認知度は約50%で、高齢者の認知度はさらに低いと思われます。「救急安心センターおおさか」を広く知っていただくことにより、軽症の救急出場を減少させることができると考えています。

令和元年から新型コロナウイルス感染症が流行拡大し、第7波、第8波では、救急要請が急増し、全国的に救急隊数が足りなくなるといったニュースを皆さんもご存じだと思います。

通常の救急体制であっても、朝と夕方は救急需要が集中し、救急車が全隊出場といった事態になることもあるなかで、感染症などのイベントが起きると救急車がひっ迫した状態となります。第7波、第8波が記憶に新しい今が救急車は貴重な医療資源であることを理解していただける、いい機会だと考えております。

新たな取り組み

当市では小学生が行うジュニア救命講習や子育て世代への予防救急などに取り組んできましたが、受講が少ない高齢者に特化した講習がありませんでした。令和4年度から、後述する「シニア救命講習」と「心肺蘇生法体操」を始めました。これにより小学生から高齢者まで世代に合わせた救命講習を行える環境が整いました。

● シニア救命講習

1. 救急病院や救急相談窓口の説明
2. 高齢者でよくある救急事故を説明し予防
3. 119番通報の要領
4. 救急活動の流れ
5. 自宅での心肺蘇生法
をカリキュラムとして、応急手当の重要性と救急車は貴重な医療資源であることを知っていただける高齢者向け救命講習を令和4年度から実施しています。

アンケートを実施すると、参加者の95%が参加してよかったと回答しました。また、講習前後に心肺蘇生法はできますかとの問いに、講習前は、高齢者の自宅での応急手当率と同じ40%でしたが、講習後は約85%ができると回答しており、知っていただくことで応急手当率が向上する可能性があることが示唆されました。参加者の平均年齢は72歳でしたが、有効な胸骨圧迫ができていました。

● 心肺蘇生法体操

救急車が到着するまで、当市では平均約6分です。約6分間心肺蘇生法を行っていただくためには体力が必要になります。そのため、心肺蘇生法を普段の運動に取り入れることはできないかとスポーツインストラクターに相談し、心肺蘇生法を体操として考案しました。

豊中市社会福祉協議会で実施している高齢者向け体操教室で心肺蘇生法体操を取り入れていただき、36校区に展開しています。

全国的な課題に普及啓発の力でチャレンジ!ご協力をお願いします。

全国的な課題となっていますが、まずは救急のこと、助かる命に年齢は関係ないことを知っていただくことから始めていきたいと考えています。知ることで得られる安心をしっかりターゲットに届けたい。課題解決の第一歩を一緒に踏み出しませんか。ご応募をお待ちしております。

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Vision

実現したい未来

・必要なすべての人に応急手当が行われ、一人でも多くの命を助けたい。
・進行する超高齢社会で持続可能な救急環境を作りたい。
・トレンドに合わせた救急情報を普及啓発できる職員を育成したい。

得られるもの

救急出場データやアンケートなど、市民の健康不安に関するデータ。本件は、全国の消防本部が抱える共通の課題となっていることから、他消防本部への展開が可能。

Outline

背景 人生100年時代と言われ、健康寿命が長くなり、高齢であっても助かる命が増加しており、応急手当の重要性は増している。
進行する超高齢社会で今後も救急出場は増加する可能性が高く、限りある医療資源である救急体制を持続させるためには、軽症の救急出場の抑制が必要である。また、救急出場の増加により救急隊員の労務管理も困難となっている。
また、応急手当の阻害要因や軽症の救急要請の原因が明らかにできておらず、市民の不安を軽減する広報が行えていない。
課題(詳細) 応急手当の必要な心肺停止事案の66%が自宅で起こっており、応急手当率は41%と低いことがわかりました。これは、救命講習が「誰か来てください。人が倒れています」などのセリフから公衆で心肺停止が起こった場合の対応方法が基本となっているため、市民が自宅で起きることを想定しにくいのではないかと考えております。また、身近な人が倒れた時ほど冷静に対応できず、救命講習の受講経験があっても、対応できないことが考えられます。市民に応急手当の実情を知っていただき、応急手当は大切な人の命を助けるために必要な知識・技術ということを理解していただければ、応急手当率が向上し、助けられる命があると考えています。
また、救急要請は年々増加の一途をたどり、令和4年は26,199件で過去最高件数となりました。このまま増加すると重症者に迅速に対応できなくなる可能性があります。救急要請の傷病程度を確認すると、約60%は軽症(病院受診後帰宅できる)となっています。これは、核家族化が進み、独居や高齢者世帯、共働きなど、健康不安の際に相談相手がいないことが考えられます。救急相談窓口等を知っていただければ、不安が軽減し、軽症の救急要請が減少すると考えられます。
そのため、小学生から高齢者まで世代に合わせた救命講習を展開していますが、応急手当率は約50%、救急相談窓口の認知度も約50%と普及しきれていないのが現状です。
求める解決策 ・市民の救急に対する意識を調査・分析し、行動を起こしてもらえる普及啓発を行いたい。
・トレンドに合わせた情報を普及啓発できる職員を育成したい。
想定する実証実験内容(詳細) ・市民へのインタビューやアンケートにより、応急手当が実行できない阻害要因や健康不安からくる救急要請の原因を明らかにする。
・明らかになった原因をもとに効果的な普及啓発ツールや仕組みを作る。
なお、現時点では、データからアクティブシニアが最初のターゲットに良いと考えている。
実証実験成功後の発展性 ・火災予防の普及啓発などへ横展開できる。
・全国救急隊員シンポジウムで全国へ発信できる。
提案企業に求める専門性 ・マーケティングノウハウ
・幅広い世代(今回は主にアクティブシニア)へ情報を伝えるノウハウ
プロジェクトの進め方打合せ方法 オンライン会議対応可
提供可能なデータ・環境等 救急出場データ(個人情報除く)、アンケート調査や救急現場での情報収集が可能
プログラム終了後の本格導入 効果的な普及啓発ツールや仕組みが実現できれば、ターゲットやエリアを広げていくことを想定している

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