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安城市議会事務局

議会のDXを推進!委員会オンライン化のための課題を洗い出したい!

Point

解決したい課題

市議会における実質的な審議を担う委員会について、オンラインでも開催できるよう環境やルールの整備を進める上で、事前に課題を洗い出したい。

想定する実証実験

模擬的な委員会をオンラインで開催することを通じて、ハードやソフトのツール、ルール、ノウハウに関して何が必要かを検証する。アウトプットとして、委員会のオンライン開催に向けたロードマップの作成を目指す。

Story

1 地方議会(議会制民主主義)のしくみ

地方議会には、本会議と委員会の2種類の会議体があります。国会と同様に、全議員(本市議会では28名)が一斉に議場に集まって議題を審議して最終的な多数決を行う本会議があり、その前に、議論を深めるためにテーマや分野ごとに委員会を設置し、委員会に所属する議員(本市では委員会ごとに7人程度)や行政職員が委員会室に集まって小規模かつ濃密な討論をすることとしています。今回の課題は、この委員会についてです。

2 Withコロナの地方議会とDX

民主主義の歴史は、ギリシア・ローマの時代に市民が集まる公共広場で行われた市民議論に遡ることができます。近代以降の日本の民主主義も、皆で一斉に議会に集まって議論できることを前提としてきましたが、新型コロナウイルス感染症のまん延によりその前提が崩されそうになりました。市の重要な意思決定を行うのには議会の開催が必要となるのに、コロナ禍において議員が一斉に集まれなくなるおそれが出てきたのです。

まず、地方自治法の規定に基づき議場で全議員が集合して最終的な採決(多数決)が行われる本会議については、オンラインによる出席は「出席」とは認められないという政府解釈が示されました。これは、地方自治法が定める本会議への議員の「出席」は、現に議場に集まることを前提としているという上述の民主主義の歴史的背景があるためと思われます。

本会議中の議場の様子

一方で、本会議での採決に向けての事前協議の場である委員会については、オンラインによって開催することができるという政府解釈が示されました。これは、委員会への「出席」の定義は、それぞれの地方自治体が条例で定めているものであるために、自治体がオンライン出席を出席と認めるような条例改正を行えば、オンライン開催が可能と判断されたものです。

委員会室での委員会の様子

実際のところは、本会議と委員会とで会議をオンライン開催する技術的困難さはそれほど変わらないと思います。委員会においても意見をまとめるために多数決の手続が行われますし、市民が委員会室で市に対する意見を陳述することもあり、ある意味で委員会では本会議よりも複雑な手続が行われることもあります。

また、上場企業の株主総会を完全オンラインで開催すること(バーチャル株主総会)を可能にした法改正がされたことと同様に、地方自治法を改正すれば地方議会をバーチャル開催することを可能にできるはずです。

それでも本会議のオンライン開催が認められなかったのは、最終的な意思決定が行われる本会議における民主主義のプロセスは、完全にはDX化できない(本会議への出席は、オンライン会議での出席によっては置き換えられない)と政府が判断したものであるように思います。

3 議会事務局がやりたいこと・望むこと

本市議会は、政府解釈のとおりオンライン開催することが可能な「委員会」について、Zoomを使ってオンラインで会議を運営できる体制を整備しようと考えています。

そもそも本市議会は、他自治体に先駆けて全議員にタブレットを配布し、議会のICT化に取り組んできました。議員に配布される会議資料のペーパーレス化は徹底されており、議会フロアにはWi-Fi環境も整備し、本会議における採決(多数決)もタブレットのアプリによる電子採決を行っています。

本市議会のウェブサイトより

しかし、コロナ禍の3年間では委員会のオンライン化に向けて本市議会の体制を整備できませんでした。国内には地方議会が2000程度あります。報道によると、委員会のオンライン開催について門戸が開かれたコロナ禍の3年間に実際に委員会をオンラインで開くことができたのは、そのうちの1割程度だそうです。

本会議についても委員会についても、会議の進行について細かなルールがあります。議会は多様な意見を持っている議員が集まることを前提として、討議を通じて議会として一つの意見にまとめるために、さまざまなケースを想定する必要があるからです。多数決の採り方ひとつをとっても、挙手、起立、簡易表決、記名投票又は無記名投票と、全部で5種類の多数決の方法があり、それぞれについてのルールが整備されています。

とはいえ、実際の委員会においては、多数決の方法をそれほど細かく使い分けることはありません。よって、委員会の会議をオンラインで進行するとした場合、定型的・定例的な部分のみを想定するのであれば、議員のタブレットと汎用的なオンライン会議のアプリだけあれば何とか議事を進行できると思います。一方で、委員会における民主主義の厳格なルールの全てをオンライン会議の中で履行することを想定した場合は、いろいろと難しい課題が出てきてしまいます。

そこで、オンライン会議を行う上で、会議の既存のルールを見直すことも必要だと気付きました。大切なのは、単に委員会の会議をそのままオンライン化するという視点ではなく、議会における民主主義のプロセスをDX(ハック)する視点だと思っています。

また、委員会室等のハード整備についても、議員や傍聴人のUXの観点を重視し、いろいろと組合せを試行錯誤しながら、本当に必要なものを見極めてから整備したいと思っています。

市民、議員、市職員。全員が納得できるオンライン委員会の形について、私達と一緒に考えていただけませんか?
ご応募お待ちしています!

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Vision

実現したい未来

パンデミックがいつ再来するか分からないからこそ、市民にとって重要な議会の議論をオンライン上で実施できるよう備えておきたい。

得られるもの

全国の地方議会が、委員会のオンライン化に取り組んでいますが、実際に開催できたところは少ない。試行錯誤の経験と成果はニュースバリューがあると思われる。
また、今後委員会のオンライン化は全国で進んでいくと予想されるので、実証成果を他自治体で横展開できる可能性がある。

Outline

実証支援金:最大50万円

実証にかかる実証プロジェクト経費の支払
1件(1課題)あたり50万円(税込み)上限

背景

<地方議会オンライン化の壁>
新型コロナウイルス感染症のまん延により、地方議会においても、三密を避ける必要性だけでなく、議員間の集団感染により議会が開催できなくなるリスクが認識されるに至りました。

一方で、コロナ禍だからこそ、市が行う重要な事業を議会でチェックする必要があり、議会の開催は不要不急のものとはなりません。

実際に、複数の議員が濃厚接触者になり自宅待機となったために、議会の開催が危ぶまれた自治体が多く発生しました。コロナ禍においてDXが加速し、多くの会議はオンライン化されましたが、地方議会においては地方自治法の壁がありました。

<委員会はオンライン化が可能>
地方議会の開催には出席議員による一定の定足数を確保する必要がありますが、全議員が集まる議場への議員の「出席」については、地方自治法の規定があり、現に議場にいる必要があるためにオンラインでの出席は認められないとの政府見解が示されました。

一方で、地方議会においては、議会の会期中に審議を深めるために、各種の委員会を設置することとなっています。この委員会については、会議への出席の定義を定めるのは、自治体ごとの条例であり、条例改正を行えばオンライン出席を「出席」として取り扱うことが可能で、委員会をオンラインで開催することが認められることになりました。

<安城市の現状>
本市議会では、感染症対策として委員会のオンライン開催を実施できるようにするだけでなく、自然災害の場合や議員が育児・介護のために家から出られず委員会に出席できない場合にも、オンラインでの委員会に出席できるように整えておく必要があると考え、検討を進めてきました。

課題(詳細)

問題は、委員会をオンラインで開催する上で、どのような環境を用意するべきで、どのように議事を運営するかです。

議員にはiPadを貸与しており、Zoomを利用することにより委員会を開会するところまではイメージできますが、条例で委員会室での一般傍聴を認めていますので、オンラインと実際の委員会室を併用するハイブリッド型で開催すること想定することがデフォルトになりそうです。

<安城市の課題>
この前提のもとで委員会を開催する場合、差し当たり以下が課題になると考えています。

・自宅から出席する委員(議員)は、委員会室や他の委員の様子をどのように把握することができるのか 
・委員会室にカメラ等のハードを追加したほうがよいのか
・委員長は全ての委員に気を配りながらどのように議事を進行するのか質問したい委員はどのように手を挙げるのか
・委員からの質問に市職員はどのように回答するのか

オンライン化をするためにはこれらの課題を解決する必要がありますが、現状ではそれが全くできていません。

また、上記以外にも委員会としての採決(多数決)はどのように行うのが適切なのかなど、オフラインを前提とした会議規則の規定を、オンライン委員会の運用に落とし込もうとすると他にもいろいろと課題がでてくることが想定されます。そうすると、現行の会議規則のままでは不都合で、規則の改正が必要になります。規則を改正する上では、オンラインならではの技術的な限界を踏まえて様々な不都合をあらかじめ洗い出しておき、いろいろと先手を打っておきたいところですが、法的な知見はあっても技術的な知見が足りないために、改正が必要なポイントについてもうまく洗い出せていません。

求める解決策

市議会における議論の場としての委員会に対する民主主義上の要請や、委員会ならではの厳格な手続を、オンラインの中でどのように履行できるのが問われていると思います。

企業様には伴走してもらいつつ、アジャイル的に解決策を一緒に模索したいと考えています。具体的には以下を検証することを想定しています。                     

・オンライン会議のアプリについて、このツールを使うとこのような形で運用ができる
・その運用を目指すならこのぐらいのハードは追加で用意したほうがよい
・この規則をそのままオンラインに持ってくるのは無理だから、規定や運用を変えた方がよい

想定する実証実験内容(詳細) 模擬的なオンライン委員会を開催する上で、会議録による過去の委員会の再現ですとか、委員会条例や会議規則の各種規定が想定する状況ですとかを、シナリオとして作りこんでいくことができると思います。そのシナリオを基に実証実験を進めていき、課題の抽出と解決策の検討をブラッシュアップしていくことを想定しています。
実証実験成功後の発展性

・全国2000程度の地方議会への横展開

委員会をオンラインで実際に開催できた地方議会は、全体の1割程度に留まります。多くの地方議会が本市と同じように、委員会のオンライン開催に向けて準備は進めていますが、委員会ならではの特殊性があり、実践的な運用のノウハウとして公開されているものが乏しく、具体的な運用については手探りの状況です。地方議会においては潜在的に高いニーズがある

提案企業に求める専門性 地方議会に関する知識や業務実績は、あってもなくても結構です。
また、平常時にも利用する汎用的なハードやソフトを組み合わせてオンライン委員会を開催できるようにしておくことが大切と思っていますので、こちらの要望を踏まえて専用のハードやソフトをゼロから開発するというような専門性も不要です。
パンデミックや大規模災害の発生時において、どのようなツールとルールを用意しておけば、委員会の民主主義的な手続をオンライン上で再現できるのかについて、解決策やアイデアを柔軟に出していただける企業様と、実証実験を通じて試行錯誤したいと思っています。
具体的には、バーチャル株主総会やオンライン型のイベントの企画・実行にかかわった企業様や、それ以外にもオンライン会議に必要なツールの機能や使い方について様々な知見や経験を持っている企業様だとマッチしやすいかもしれません。
プロジェクトの進め方打合せ方法 打合せはオンラインでOKですが、実証実験を進める上では委員会室を見ていただきたいですし、実際の委員会の傍聴に来ていただくのも大歓迎です。
6月20日(火)から23日(金)までは常任委員会が連日開催され、10名程度まで傍聴可能です(その次は9月の開催です。)。
提供可能なデータ・環境等 全ての議員にiPadを配布しており、資料の配布や議決を行うアプリもインストールしてあります。委員会室には、Wi-Fiと有線マイクがあるのみです。
委員会のルールについては、精通した事務局職員や専門のアドバイザーがいますので、その知識はご提供できます。
プログラム終了後の本格導入 本プログラムでは、実証実験を通じてルールやツールの確認を進めていきますので、その結果として不足するハードやソフトがあり、整備していくことが固まった場合には、プログラム終了後にそれらを導入できるよう予算化していきたいと思っています。

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