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長久手市 地域共生推進課
相談内容を速やかに共有したい!包括的支援情報連携システムの構築
- 採択企業
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- 北日本コンピューターサービス株式会社
Point
解決したい課題
複雑化・複合化する市民の相談に対して、関係課や関係機関が速やかに連携して支援したい。
想定する実証実験
相談内容を共有する「包括的支援情報連携システム」のプロトタイプ構築し市役所内や各相談機関で試験運用を行う。
Story
人口増の一方で6人が孤独死・孤立死
長久手市は、名古屋市に隣接するベットタウンとして発展し、現在も人口の増加が続いています。市内の西部は市街化され、東部には豊かな田園風景が広がっています。宅地供給の影響から、30、40歳代の転入が多く、子育てしやすいまちとして、各指標において、一定の評価をいただいています。
しかし、転入者が増加する一方で、ご近所付き合いなどの「つながり」が希薄化していき、本市の自治会加入率は、50%に満たない状況です。現在は、煩わしいこともなく、快適な生活が送れていても、今後急速に高齢化が進み、社会構造が変化していくにつれて、このままで本当に市民の方が幸せに暮らしていけるのでしょうか。
すでに生きづらさを感じながら地域から孤立し、苦しんでいる人はおり、令和3年度には、市内で6人の方が孤独死・孤立死に至っています。
これからは、地域で顔の見える関係性を築く取り組みを進めつつ、市民に対する相談支援機関は、高齢や障がいなどあらゆる分野の相談をまるごと受け止め、適切かつ速やかに対応することが求められています。
「生きづらさ」と「支援しづらさ」を解消したい
地域や家族などとの「つながり」が希薄化していく中で、生活課題を抱えながらも相談する相手がいない、また制度のはざまで孤立してしまい「生きづらさ」を感じている人が増えています。家族構成の変化や多様化により、生活課題も複雑化・複合化が進んでおり、市としても、従来の福祉制度の支援だけでは、十分に対応できないケースが増加しています。
課題の複雑化等により支援制度につなぎにくいケースが増加していく中で、市や相談支援機関は、本人に寄り添いながら継続的な伴走支援が求められます。
いずれの支援においても、関係課、関係機関との連携は不可欠ですが、縦割りの制度や組織、支援の仕組みに「支援しづらさ」を感じています。
例えばこんなデータがあります。東京都江戸川区は、令和3年度に区内全世帯約18万世帯を対象にした「ひきこもり実態調査」を実施し、9,096人のひきこもり当事者の区民がいることがわかりました。全世帯を対象にしたひきこもり調査は都市部では初めてで、長久手市で同様の調査を実施した場合でも、同じ問題が明らかになることが想定されます。
調査報告書では、「ひきこもるきっかけは少なくても、一度ひきこもり状態になると困りごとは複数抱える可能性が高くなる。」「繋がり続けることが大切。一つだけの選択肢ではなく、複数の可能性を探ることが必要。」と報告されています。
ひきこもり状態の方の多さもさることながら、困りごとを複数同時に抱えていることや支援制度を複数検討する必要があることが、支援をより難しいものにしています。
江戸川区だけでなく、長久手市を含めたすべての自治体において、制度や分野の縦割りを超えた、包括的な相談体制や重層的な支援体制を整備することが求められています。
(江戸川区ウェブサイト『令和3年度「江戸川区ひきこもり実態調査」の結果報告書について』より)
「そうだんシート」の挫折を乗り越えたい
長久手市では平成28年度から、関係課間で相談情報を共有し、連携するための共通様式「そうだんシート」を導入しましたが、紙媒体で管理していたことや導入後の関係課へのフォローアップが不足しており、シートの活用はもとより、連携意識の定着・習慣化が進んでいない状況です。
今年度、各相談支援担当課と協力して、庁内連携会議や相談支援のヒアリングを実施し、相談支援のあるべき姿を再確認するとともに、現状の課題等について整理を行っています。そうした中で担当課は、支援方法や情報共有の方法に課題を感じていることが見えてきました。
「制度利用の一歩手前の人の情報を共有したい。」
「相談者だけでなく、世帯情報を確認したい。」
「現在紙媒体での依頼や画面の閲覧で情報を共有しているが、改善したい。」
こうした担当課の要望を実現するため、「包括的支援情報連携システム」を構築し、相談支援の質の向上、事務の改善につなげることを検討してきました。
包括的支援情報連携システムを試したい
これらを踏まえて、長久手市では、次のようなことを実現できないかと考えています。
⑴ 相談者の属性や世代にかかわらず、地域の様々な相談を、市全体で受けとめます。
相談の内容にかかわらず、包括的に相談を受けとめ、主訴を理解し、適切な支援制度を案内します。また、世帯全体に着目し、世帯の複合課題について、速やかに関係者間で共有し、フォローします。
⑵ 従来の福祉制度につなぎにくい課題等に関して、継続的な伴走支援を行います。
福祉制度を案内できない場合は、課題の解きほぐしや本人の状態の変化に寄り添う継続的な伴走支援を行います。伴走中の記録を統一管理することで、円滑に制度利用につなげます。
⑶ 相談内容を共通フォーマットで管理し、速やかかつ適切な情報連携と相談対応を実現します。
これまで関係課等で個別に管理していた相談記録についてシステム化をすすめ、システム内の共通フォーマットを用いることで、入力項目を統一し、一覧性を確保することで、関係課で把握している情報をスムーズに連携させ、市民に対し速やかかつ適切な相談対応につなげます。
そして、⑴から⑶の実現のために、関係課間で速やかに相談内容を共有できる「包括的支援情報連携システム」の導入を図りたいと思っています。
相談を受けた部署が、システムに相談内容を記録し、関係課間で共有することで、それまでの支援経過を互いに閲覧できるととに、支援制度を利用することとなった場合に円滑に関係課間で連携することができるようなシステムを構築したいと考えています。
速やかで、かつ適切な相談対応に向けて
とはいえ、このようなシステムの構築、導入について、私たちの力だけでは実現できそうもありません。そこで、企業等の皆さまから、いろいろな技術やアイデアの提案を募集し、実証実験を通じてその効果を検証したいと考えています。実証実験で効果が明らかとなった場合は、システムの本格導入を検討しつつ、関係課、関係機関でさらなる包括的な支援体制を築いていきたいと考えます。
ぜひ皆さまのお力をお貸しください。よろしくお願いいたします。
Vision
実現したい未来
速やかに市民を支援制度へ結びつけるとともに、制度につながらない困りごとに対しても、市民に対して最適な支援を案内できる体制を実現する。
得られるもの
全国的に包括的な支援体制整備の必要性が謳われている中、相談記録のシステム化は、今後他自治体への展開が見込まれる。
また、実証事業の実施や成果のプロモーション効果が期待できる。
Outline
背景 | 近年、個人や世帯が抱える問題や生きづらさは、複雑化・複合化している。相談を受ける担当課は、相談の主訴を理解し、適切な支援制度を案内できるのが理想だが、相談件数の増加や内容の複雑化により、関係課もしくは関係機関との連携が容易ではなくなり、対応に苦慮している。 また、全ての相談に対して支援制度を案内できるわけではなく、条件を満たさない場合は、支援制度を案内できないこともある。 現在、国の進める「重層的支援体制整備事業」においては、市町村において各分野の相談支援者が属性に関わらず包括的に相談を受け止め、利用可能なサービス等の情報提供を行うとともに、複雑化・複合化した課題については支援機関のネットワークで対応する包括的な相談支援体制を構築することが求められている。 |
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課題(詳細) | 複雑化・複合化する市民の相談に対して、速やかに支援制度を提供することはもちろん、支援制度につながらない場合においても、関係課、関係機関が協力し、フォローアップを行う必要がある。また、相談者だけでなく世帯全体に着目する必要があるが、年代や特性が異なる家族情報の共有・関係課間の連携に苦慮している。 一件の相談に関連する情報は、異なる部署、異なるシステムで管理していることが多く、確認作業に多くの時間と手間を要する |
求める解決策 | 「包括的支援情報連携システム」の構築 <必要だと考える機能> ・市民から相談のあった課題を記録し、関係課・関係機関で共有できる。 ・制度を利用する前の段階で必要なフォローアップができるよう相談者情報を管理する。 ・関係課、関係期間で気軽に横断的に相談・連携できる。 <あるとより便利な機能> |
想定する実証実験内容(詳細) | ・一部の課及び関係機関で一定期間試験的に運用する。 ・相談から支援制度の案内までのスピードや情報共有の効果、操作性等の有効性を検証する。 |
実証実験成功後の発展性 | まずは一部の課及び関係機関で導入し、成果をみて拡大を検討する。また、制度改正に対応できるよう、職員が修正可能な機能開発を行うことで、法改正及び市独自の制度にも対応可能と考える。 |
提案企業に求める専門性 | 相談支援事業に関して、ある程度の知識があることが望ましい。 |
プロジェクトの進め方打合せ方法 | 定期的なミーティング、オンライン会議可。 |
提供可能なデータ・環境等 | 過去の相談記録等についてデータでの提供可能。 |
プログラム終了後の本格導入 | 本格導入のための令和5年度予算化を予定。 |
選考基準・スケジュール・よくある質問など
資料請求・新着課題
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