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応募終了

こども相談課

デジタルツールで支援の現場を繋ぎ、切れめなく子どもの発達をサポートしたい!

採択企業
株式会社ラック

Point

解決したい課題

発達障害など障害のある子どもを取り巻く多様な主体(保護者)、学校やこども園・保育園(所)等、通所支援事業所など)が必要な支援情報を現場で共有できていない。

想定する実証実験

本市で配布する紙の支援手帳をベースに、それぞれの支援現場で本当に役立つ(書き込みやすく、要点が分かりやすい)よう再構成したツールをつくる。

Story

子どもの情報共有に何を使っていますか?

 子育て世代の方は、妊娠・出産や子育てのアプリ、学校やこども園・保育園(所)等の連絡ツールなどに馴染みがある方も多いと思います。

 子どもの発達支援の現場でもデジタルで情報共有ができたらいいのですが、現場ではまだまだ紙で子どもの育ちや発達の状況を共有することが多いことをご存知でしょうか。

発達に支援が必要な子どもが増加

子どもの発達の課題に、周囲が気づくタイミングは様々です。乳幼児健診で言葉の遅れに気づくケース、こども園・保育園(所)等で集団行動がはじまって行動の遅れが目立つケースなどがあります。

18歳未満人口が近年横ばい状況にあるなかで、就学前の教育・保育施設において、配慮を要する児童数は増加傾向にあります。小学校・中学校の支援学級在籍者数、放課後こどもクラブの障害児受け入れ人数は毎年増加しています。

市立小学校における支援学級児童数の推移
放課後こどもクラブの障害児受入れ人数(小学1_6年生)の推移

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援など発達に支援が必要な子どもに向けたサービスを利用する子どもたちも年々増加している状況です。

早い時期から周囲の理解が得られ、その子どもの能力を伸ばすための療育等の必要な支援や、環境の調整が行われることが大切です。

大人によって、伝えることが違ったら

子どもの場合、周囲が早い時期からその子の特性を理解し、能力を伸ばすための療育など、必要な支援をしていくことが大切です。発達に支援が必要な子どもの多くは、家庭、学校やこども園・保育園(所)等、障害児通所支援事業所など、複数の施設が生活の場となっていて、それぞれの場に、子どもに関わる支援者がいます。

例えば、忘れ物や落とし物が多いことについて、ひとりの支援者が子どもに「がんばったらできるから、忘れ物をしないようにしよう」と声をかけていたとします。そうしたときに、別の支援者が「がんばらなくていいよ。チェックリストを作って練習しよう。」と言ってしまうと、その子どもは混乱してしまいます。子育ての中では、家庭の中ですら大人によって言うことが違うことはよくありますが、発達障害の子どもの場合、その違いを重く受け止め、大きな躓きとなってしまうことがあります。

そのような課題に対し、国でも厚生労働省と文部科学省が合同で、家庭・教育・福祉の連携として「トライアングル」プロジェクトを立ち上げ、報告書をまとめています。ここでは、学校と放課後等デイサービス事業所が、お互いの活動内容や課題、担当者の連絡先などを共有し、円滑なコミュニケーションを図ることの必要性が示されています。

支援手帳の役割

こども相談課では、支援の一助として、平成28年度(2016年度)から、保護者が子どもの生育歴やこれまでの支援経過等を記録する「支援手帳」を配布してきました。支援手帳は、支援機関や利用する制度が変わる際に記録が途切れないようにすることで、生涯を通じて支援が途切れないようにするためのものです。年間、概ね60冊〜80冊を窓口で配布しています。
他の自治体でも、「サポートブック」「支援ノート」といった名前で、同様のツールが配布されています。

現在は、ファイルに必要な様式を印刷したものを綴じこみ、希望する保護者にお渡ししています。ただ、紙ベースであるがゆえに、保管している保護者以外の支援者が必要な時に情報収集や書き込みができないことや、情報を集約する保護者の負担が大きいことが課題です。

支援手帳

今、ちょうどいいサービスが世の中にない理由

「発達に課題のある子どもを取り巻く支援者が、子どもの状態や支援情報を書き込み、リアルタイムに確認できるツールが欲しい。」これだけ見ると、DX全盛のこの世の中、あっという間にシステムが組めてしまいそうな気がします。
でも、まだ今この世の中に、100点満点のツールは存在しません。何故でしょうか。

原因はいくつかあると思いますが、担当者としては、以下3つの理由が大きいのではないかと考えています。

①発達障害は一部の人の課題という認識
まず、発達障害などの課題が一部の人のものとして捉えられ、広く理解されていないことです。自閉症やアスペルガー症候群、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)など、今では言葉自体は知られるようになりましたが、やはり稀な存在として認知されているように思います。地域の課題・ニーズは確かに存在するのに、サービスを提供する側にそれが伝わっておらず、サービス化に至っていない。今回は、それを伝えるきっかけになればと思い、このプロジェクトにエントリーしています。

②支援者の忙しさ
次に、支援者が皆、ものすごく忙しいということです。日々、家庭での生活を支える保護者はもちろんですが、学校やこども園・保育園(所)等では、支援の対象となる子どもが増える中、保育士や教員はそれぞれの特性に合わせた対応に多くの時間を要しています。障害児通所支援事業所は、子どもの受け入れや保護者との調整、給付申請の事務手続きなど、施設の運営主体としての忙しさがあります。日々の対応に追われ、システム化といった新しい挑戦がどうしても後回しになってしまう、福祉の現場共通の課題があるように思います。

③支援手帳の項目の多さ
最後に、今、豊中市で運用している紙の支援手帳には、非常に多くの項目が盛り込まれています。このままオンライン化して枠だけ作っても、きっとユーザーの入力の負担が大きくなるだけで便利なものにはなりません。改めて、それぞれの支援者の視点に立ち、必要な項目をブラッシュアップし、再構成して現場にすりあわせていく作業が必要です。それは、このプロジェクトのように、公民が協働して行う実証実験の場でなければ難しいのではないでしょうか。

全国初のチャレンジに、ご協力ください!

この課題を提案したときに、「遅かれ早かれ、いずれはオンライン化していくツールなんでしょうね」と庁内のヒアリングで言われました。担当者自身も、その通りだと思います。
でも、きっとこのままでは「遅かれ早かれ」の、遅いほうになってしまいます。毎年、就学や進学の節目に、たくさんの支援者が困っています。担当としては、今の現場の困りごとに、なるべく早く、今よりも良い解決策を届けたいです。

ただオンライン化するのではなく、子育てをする保護者や、学校やこども園・保育園(所)等の職員、通所支援事業所の職員など、それぞれの支援者の視点にたちながら、UI/UXデザインを共に検討してくださる事業者の方と共に、新しい支援サービスを開発していきたいです。

プロジェクトを進める中では様々なハードルが登場することと思いますが、それを乗り越えた暁には、全国の児童発達支援の現場で働く人たちに、沢山のいいね!をもらえるような気がしています。
ご応募をお待ちしています!

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Vision

実現したい未来

子どもを取り巻く支援者が成育歴や支援内容の情報を共有することで、子どもが最適な支援を受けられるようになり、支援者側の負担も軽減されること。

得られるもの

厚労省と文科省が「家庭」「教育」「福祉」が連携し障害のある子どもを支援するトライアングルプロジェクトを推進しており、横展開の見込みがある。

Outline

背景

・乳幼児健診やこども園・保育園(所)等に通っている中で、療育が必要と認められ、児童発達支援の対象となる子どもは年々増加しており、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援の利用者も増加している。

・発達障害など支援を必要とする子どもは、家庭や学校、放課後等デイサービスなどが生活の場となる。それぞれの生活の場における支援者が、子どもの状態や支援情報について共通認識を持って一貫した支援にあたることが望ましいが、情報共有がうまくなされず、子どもや支援者が困るケースがある。また、就学、進学、就労などの節目で、情報の引継ぎがうまくなされないケースもある。
・本市では、支援を必要とする人(子どもの場合はその保護者)が、成育歴やこれまでの支援経過等を記録するためのツールとして、「支援手帳」(豊中市公式HP)を発行している。現在は、ファイルに用紙を綴じこんだもの一式を、児童発達支援センターなどの窓口でお渡ししている。市ホームページからPDFデータをダウンロードし、ページを追加することができる。

課題(詳細) それぞれの生活の場における支援者が、必要な情報をリアルタイムで共有し、子どもに適切な支援ができる一助となるよう、紙の支援手帳に代わる支援ツールを開発したい。
求める解決策 ・支援者ニーズの把握・整理/従来の支援手帳は、行政側が必要と考える項目を様式に落とし込んで提供している。改めてユーザー視点で再構築するため、それぞれの支援者(保護者、学校、障害児通所支援事業所)がこのツールに求めることが何なのかについてヒアリングを行い、ニーズを把握・整理したい。
・支援者が使いやすいシステムデザイン/それぞれの支援者の負担を可能な限り減らしつつも、要点を落とさないよう、項目を整理したい。また、デザイン面でもユーザーの入力しやすさ、シンプルさを重視したい。
・情報セキュリティ要件の整理/第一段階として、保護者が書き込みをしたものを、保護者が権限を与えた関係者が閲覧することができる。第二段階として、保護者が権限を与えた関係者が、情報を書き込むことができる。今年度の実証実験でどの段階まで可能かについては、協議の上調整。
想定する実証実験内容(詳細) ・現在の支援手帳をもとに、項目をブラッシュアップ(一部でも可)
・テストサイト(紙上でも可)を用い、豊中市立児童発達支援センターや豊中市内通所支援事業所などにおいて関係者ヒアリング。
・権限の付与等について、情報セキュリティの要件整理
実証実験成功後の発展性 ・他自治体でも「サポートブック」「支援ノート」などといった名称で、同様の事業が実施されている。
・その多くが「様式をPDFでダウンロードして印刷できる」という形式にとどまっており、オンライン化の事例はまだ少なく、また「保護者だけでなく関係者が閲覧・書き込みが可能」という機能を有している事例は見つけられない
・本プロジェクトを通して「支援者ニーズの把握・整理」「支援者が使いやすいシステムデザイン」「情報セキュリティ要件の整理」を行うことは、全国の自治体が抱える同様の課題解消にも繋がり、事業の横展開が可能と考えられる。
提案企業に求める専門性 ・子育てをする保護者や、所属機関(学校やこども園・保育園(所)等)の職員、通所支援事業所の職員など、それぞれの支援者の視点にたちながら、UI/UXデザインを共に検討してくださる事業者
・情報セキュリティの専門知識
プロジェクトの進め方打合せ方法 ・オンライン会議対応可能
・採択企業には、支援の現場をぜひ見ていただきたいので、児童発達支援センターでの打合せもお願いしたい
提供可能なデータ・環境等 ・児童発達支援センター(障害や発達に課題のある子どもの支援を担う中核施設。理学療法士・作業療法士・保育士・言語聴覚士・心理士などの専門職がいます。)
・豊中市障害児福祉計画策定に先立ち実施した市民アンケート結果
プログラム終了後の本格導入 2021年度は、厚労省の地域生活支援促進事業「家庭・教育・福祉連携推進事業」として1/2助成が組まれている。2023年4月にはこども家庭庁が発足することから、今後も障害児関連施策の充実が見込まれるところであり、国のトライアングルプロジェクトの方向性と一致している本取り組みを予算化できる可能性は十分にあり得る。

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