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神戸市 市長室 広報戦略部 広報課/広聴課

脱・市役所WEBサイト!市のWEB・FAQサイトを見直し、リニューアルに向けて優れたUX/UIを実証検討したい!

採択企業
株式会社アスコエパートナーズ

Point

解決したい課題

一方的に情報発信するWEBや使えないFAQから脱却し、市民接点を劇的に改善して、デジタル化へのシフトとコールセンターのコール削減を図りたい!

想定する実証実験

市民が知りたい情報が“探せる” “理解できる”ホームぺージ・FAQサイトの構築

Story

集合写真

1.「電話改革の推進」とコスト削減の二律背反の問題

電話が途切れることのないコールセンター。着信音こそ鳴らないが、20席以上あるオペレーター席のあちこちから、カシャカシャとせわしなくキーボードを叩く音と、市民からの問合せに丁寧に説明する声が聞こえる…。毎日朝8時から夕方まで続くコールセンターの日常的な光景です。
平成23(2011)年度に開設された神戸市の総合コールセンターの対応件数は、昨年度20万件を超え、過去最高となりました。休み明けの月曜日など、2千件近いコールがある日もあります。

コールセンター

もともと、市民からの市役所・区役所の職員宛のコールが他の政令指定都市に比べても特に多かった神戸市は、平成29(2017)年度以降、働き方改革の一環として、市民からの一般的・定型的な問合せを総合コールセンターに誘導するための「電話改革」を積極的に進めてきました。FAQ(よくある質問と回答)を整備し、市ホームページ(以降、「市HP」)を充実させ、問合せは総合コールセンターに誘導し、各部署に掛かるコールの抑制を図ったのです。

こうした取組により、以前は約9万件程度だった総合コールセンターの応対件数は、ここ数年で2倍以上に急増。その結果、10%未満を維持していた放棄率(※)も急激に悪化する副作用をもたらしました(昨年度25.9%)。これを改善するため、今年は補正予算でオペレーター席も増席しましたが、コールセンター事業者への委託料は増え、市の財政負担も大きくなっています。
※交換機に着信したコールのうち、オペレーターが応答する前に発信者から切電されたコールの割合

コールセンターグラフ

2.総合コールセンターのコール・リーズン

今年は特に、コロナ禍の影響で総合コールセンターへのコールが急増しましたが、そもそもここに寄せられる市民からの問合せには、FAQや市HPを見れば解決する案件も多いのです。

入電内容をカテゴリー別に見ると、毎年上位にランクインする「家庭ごみ(分別・リサイクル・大型ごみなど)」(昨年度1位)、「戸籍」(同6位)、「転入・転出にかかる手続き」(同9位)などは、総じて、FAQや市HPを検索すれば解決できます。

しかし、FAQや市HPの情報が、アクセスしやすくかつ読みやすく提示されなければ、市民は市HPに常に表示される「総合コールセンターの電話番号」に電話をすることになります。

実際、最近、総合コールセンターに寄せられた「家庭ごみ」の問合せについて、そのコール・リーズンを探るべく、電話いただいた市民の方に、聞き取り調査を実施したところ、「市HPや分別早見表を見たが分からなかったから」と答えた方が8割を超え、事前にFAQで検索した人はほとんどいませんでした。詳細な分析は必要ですが、市HPの見づらさ・FAQのアクセスしにくい点などで、改善の余地がありそうです。

3.“使えない”市ホームぺージとFAQサイト

市HPは、平成21(2009)年3月にCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を導入以降、職員一人ひとりがホームページの作成・更新してきました。平成23年にはFAQシステムを導入し、令和元年からは、担当職員が作成・更新できるようシステムを刷新しています。さらに、平成28年2月には、利用者の声やアクセス解析を踏まえトップページに検索窓を設けるなど改善をしてきたのです。

しかしながら、CMSは広報課がシステムを調達し、FAQ検索システムは情報化戦略の担当部署が調達した結果、リンクは掲載しているものの両システムの連携は無いなど、何かを知りたい・調べたい市民の目線に立った、UI/UX思想の設計はなされていません。

さらに大きな問題は、職員の「伝える力」。市HP・FAQとも担当職員により迅速に更新は可能なのですが、その結果、大きな課題を抱えることとなりました。

通常ポスターやリーフレットなどはデザイナーにより、デザインや情報が整理・統制され制作されますが、市HPは職員自身がその機能を担わなければいけません。職員は「これを聞かれたらどうする?」と、全てを網羅しようとし、情報を整理することなく次々に情報を足していく…市民本位の視点が欠落してしまっているのです。

市HP

こうした背景もあり、市HPは13万ページに膨れ上がりました(平成28年)。以降、削減を呼びかけ7万ページ(htmlで3万)にはなったものの、まだまだ“探せない”“伝わらない”“古い”情報の断捨離が必要で、分かりやすいサイトへの道のりは険しい状況です。なお、FAQも現在6千件以上用意されており、そのトップページからは、①キーワードからの検索、②ライフステージ・カテゴリから検索可能ですが、この検索の有効性も「質問と回答」を作る担当職員に依存しています。

担当職員が作成・更新した市HP・FAQは、市民に伝わる・伝えるべき情報なのかを管理職が判断・承認し、公開されています。「その判断がどうか?」は市HP・FAQの現状が物語っています。

ちなみに、神戸市クレドでは、「どんなときも、市民目線で」取り組むことを掲げており、市民への分かりやすい情報提供の実現には管理職のマネジメント能力も重要です。

そして、職員は、市HP・FAQの双方のシステムで情報更新が必要ですが、市HPは最新情報に更新したが、FAQは更新されないまま放置されるといったことも少なくありません。掲載情報の齟齬により、総合コールセンターで誤案内が発生し、市民からのクレームに発展することもありえるのです。

“使えない” 市HPとFAQサイトからの脱却は、UI/UX思考による関係システムの設計に加え、管理職も含めた職員の意識改革と「伝える力」の底上げ、そして、いい加減なコンテンツ公開を許さない仕組み(体制、公開権限の一元・集約化など)も必要です。

Analytics

4.「バーチャル市役所」の実現に向けて

時代の流れから、問合せ手段が「電話」から、WEB、FAQやチャットなどのオンライン上の「ノンボイス」にシフトしていくことは必然でしょう。そのためには、市民が安心してWEB等のインターフェースからアクセスし、セルフで解決できるよう問合せチャンネルの最適化を図っていくことが必要です。

民間調査によれば、問合せ方法について、50代以上は「電話利用で“人”に対応を」と考える人が過半数を占めますが、30代以下は「WEBなどで“セルフ”で解決したい」が過半数を占め、電話を敬遠する傾向が強くなるという結果もあります。

しかし、WEBで解決できた人は3割程度で残り7割は「WEBで調べたが分からないから電話した」となっており、現在の“伝わらない”市HP・FAQの問題を端的に表しています。

今後、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展により社会も大きく変わろうとする中、自治体も後れをとるわけにはいきません。本市でも、窓口に行かなくても手続きができる「バーチャル市役所」の実現を目指しています。その前に、市民が知りたい情報が“探せる”“理解できる”市HP・FAQを再構築し、市民接点の劇的な改善を図らなければ、それも覚束ないでしょう。

私たちのこの課題解決に向け、お力を貸していただけるスタートアップ企業の皆様からのご提案をお待ちしています!

集合写真
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Vision

実現したい未来

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進を加速化させ、窓口に行かなくても手続きができる「バーチャル市役所」の実現

得られるもの

住民からの電話対応が自治体・職員の本来業務ではないことに気づいた全国の自治体への横展開

Outline

背景 入電量が増加傾向にある市総合コールセンターの運営においては、市民サービスを維持するためにオペレーター席の増席に取り組むなどした結果、市の財政負担が大きくなっている。
今後、入電量の抑制を図ることが求められる中で、コールセンターへのコール・リーズンを探ると、市ホームぺージやFAQでは市民が疑問を解決できず、コールセンターへの電話へと流れる傾向があることが見えてきた。
しかし、ホームページのCMSとFAQシステムはバラバラで、UI/UX思考に基づいた設計がなされておらず、掲載情報も必ずしも市民に「伝わる」情報とはなっていない。
課題(詳細) ●管理職も含めた職員の「伝える力」の底上げと意識改革
●市民に「伝わる」コンテンツの作成を容易にするルールの設定(ガイドラインなど)
●UI/UXデザインを採り入れ、かつ、職員の業務負担の軽減にも資するWEBサイトシステムの構築
求める解決策 ホームぺージとFAQが融合した、徹底したUI/UXデザインに基づくWEBサイトシステム
想定する実証実験内容(詳細) WEBサイトシステムにおける
●市民がアクセスしやすいインターフェース
●市民が必要とする情報が効率よく探せる、高い検索機能
●入力ガイド機能等を備え、市民が必要な情報にストレスなく辿り着ける情報アクセス機能の検証・実践
付加的・発展的な要素 WEB上で市民が“知りたい”情報を的確に提供できれば、将来的に、市民の個別的な状況に応じて必要となる申請や手続きなどをオンラインで可能とする「バーチャル市役所」実現の土台となりうることが期待できる。
求めるスタートアップ像 ●利用者(市民)側の行動分析に優れ、その目線に立った仕組みの提供に加え、管理者(自治体)側が、“伝えたい人に伝わる”情報提供を行うことができる仕組みを提供できる企業
●WEBデザインを丁寧に行うことができる企業
プロジェクトの進め方打合せ方法 適宜、オンライン会議
提供可能なデータ・環境等 ●ホームページのアナリティクス
●市総合コールセンターの応対履歴
●FAQのアクセス状況
など
プログラム終了後の本格導入 実証実験後、その効果検証を行い予算化の検討を行う。

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