Urban Innovation JAPAN


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長田区まちづくり課

長田の熱いコミュニティ同士の交流と、新参者の参加を活性化する仕組みを作りたい!

Point

解決したい課題

長田に愛着を持ち、まちをより良くしていこうという動きが一定あるが、まだ一部の人たちに限られたものになっており、コミュニティの外からは見づらく入り込みにくい状態になっている。

想定する実証実験

デジタルツールやサービスを活用し、長田で行われている活動の可視化をしつつ、新参者でも参加しやすいデザインを施した仕組みで、市民間の交流が加速する実証。

実現したい未来

市民がまちを良くする企画、課題解決、創意工夫を行い、多様な市民がそこに参加する。その結果、市民主体の参加型イノベーションが生まれているまち。

得られるもの

住民側のリソースをシェアし、自分たちの力でまちの課題解決を図るという、少子高齢化・人口減少時代の地域のあり方の先進事例を作ることができる。

Story

1995年1月17日 阪神・淡路大震災

「神戸市長田区」と聞いて、この日を思い起こす方は多いのではないでしょうか。
長田区は、神戸市内でも特に阪神・淡路大震災の被害が大きかった地域のひとつでした。

震災から10,000日が過ぎ、長田区の街は災害に強いものに生まれ変わりました。

それでも、1月17 日が来るたび、シャッターの下りた商店街の映像とともに、「再開発」「衰退」というキーワードと共に繰り返し語られることが多いです。

豊かな人間関係を築き上げ、震災後を力強く生き抜いてきた区民が、そうした報道に触れるたびにまちへのプライドを失ってしまっていくことが、とても悔しい。
長田は、区民が誇りを持てる素敵なまちであることを、もっと区民自らに知ってほしい。
すでに存在している素晴らしさにアクセスしやすくしていくだけで、区民の人も、全国の人も、長田というまちに向ける目が変わっていくのではないかと考え、このたびUrban Innovation KOBEにエントリーしました。

私たちが考えている長田区の課題と解決のための戦略、それからお力を貸していただきたい内容について記していきます。

「課題先進都市」長田区

長田区のデータ上の課題を見ていきましょう。

  • 空き家率18.3%…5~6軒に1軒が空き家(市内最大)
  • 高齢化率33.3%…3人に1人が65歳以上(市内最大)
  • 出生数592人(市内最少、出生率は9区中7位)
  • 人口減少率0.97%(市内最大)

(※空き家率のデータは2018年、その他は2020年度のもの)

また、治安が悪いというイメージ・偏見も根強く、不動産会社の発表している「関西・住みたい自治体ランキング2022」でも79位と、市内9区中で常に最下位となっています。

まさに「課題先進都市・長田」と言えるような中、明るい話題も生まれています。

続々と集まっている、クリエイティブな人たち

課題がある=関わりしろがある。
また、長田には、震災の影響などを経て得た地域のつながりやその雰囲気がある。
そんな捉え方で、クリエイティブな発想をもった方々が近年外から集まりつつあります。一部の方々をご紹介します。

廣田恭佑さん(提供:シタマチコウベ
・理学療法士、㈱PLAST代表取締役
・2014年に新長田で起業。リハビリ特化型デイサービス、保育園、福祉用具、チョコレート店、カフェなどを経営している。
・大正筋商店街振興組合の理事長も務める。

小國陽佑さん(提供:シタマチコウベ
・NPO法人芸法代表、下町芸術祭2021実行委員長
・2013年に長田区駒ヶ林に拠点を構える。
・地域の人と連携し様々なコミュニティアートを手掛けるなど、長田のアートシーンを支える第一人者。

小笠原舞さん
・保育士起業家・こどもみらい探求社代表
・2017年、長田の多様性あふれる子育て環境に惹かれて関東から移住。(詳しくはnote参照)
・長田でのくらしを積極的に発信し、新たな移住者を呼んでいる。

廣田さんと小國さんが出会って、商店街のシャッターにアートを描く活動が行われたり、長田区にある様々なコミュニティに小笠原さんが訪れて長田の暮らしの広告塔になったりと、人と人の出会いがまちの課題解決につながる事例も見られるようになってきました。

私たちは、こうした創造的な活動の拠点として長田を選んだ皆さんに、1人ずつ時間をかけてインタビューをしていきました。
皆さんの共通点として浮かび上がってきたのが、「長田の人間関係が心地よいと感じている」ということ。
たとえば、こんなお話を伺いました。

  • 子連れで喫茶店や銭湯にいくと、他の人が子どもを見ていてくれた。
  • 商店街のお店で買ったら、「食べ盛りやろ」と言ってたくさんサービスしてくれた。
  • 移り住んで間もなくの頃、地域の人からストーブをもらった。
  • 新しいことを始めたいと自治会長に相談したら、「地域の人には言っとくから」と応援してくれた。

こうしたエピソードの積み重ねが、「肩肘張らなくても、ただそこにいていい」「長田なら、やりたかったことが実現できる」「長田のまちのために何かしたい」と思わせている流れを見ることができました。

長田に来る(生まれる)→長田の豊かな人間関係と課題に触れる→長田で活動を始めるという流れはまだまだ一部のプレイヤー=「とがった」人たちのもので、データとしてなかなか表れることはありません。
また、長田の最大の魅力となっている「人間関係」を支えている主役は、このまちに住む高齢者の方々。
残す努力をしなければ、いずれ失われてしまいます。

長田ならではの人間関係をこれからも受け継ぎ、そしてもっと豊かなものにしていくために、私たちはさまざまな試みを行っています。

その1つが、「ナガタお好み焼きセッション」。
長田で何かやりたい・始めたい、暮らしの情報を知りたい人なら誰でも参加OKの交流イベントです。

2022年3月に初めて開催したところ、定員25名に対して40名のご参加となり、大盛況で幕を閉じました。このイベントがきっかけとなって活動がさらに活発になったり、新しい試みが生まれたりも。今後も区内の各地域で開催予定にしています。(当日の雰囲気は、長田区公式noteにレポートを掲載しているのでぜひご覧ください。)

人口減少・少子高齢化が大きな潮流となり、自治体職員の人数も予算も減っていく時代。まちの課題を行政だけで解決することは難しくなり、住民自らが課題を見つけて行動することが必要不可欠となってきています。

「ナガタお好み焼きセッション」では、そんな新しい”地域のあり方”の入り口を見ることができましたが、その一方で、新たに浮かび上がってきた課題もあります。
それは、皆さんが取り組んでいる1つ1つの活動はとても素晴らしいものが多いのに、区内でもなかなか知られていないこと。知られていたとしても、その活動に参加したり場所に入ってみたりするためのハードルがやや高く、広がりが持ちにくいということです。
逆に捉えれば、こうした活動や場所をもっとオープンにしていくことで、長田への関わりしろ&関係人口は爆発的に増えていく可能性を秘めていると感じています。

もっと長田に関わってほしい人たちとは?

では、活動をオープンにしたとして、参加してくれる人はいるのか?
私たちが想定しているターゲットは、「何か始めたい」の一歩手前にいる人たちです。長田に住んだり働いたり頻繁に訪れたりしていて、長田にポジティブな印象を持っており、地域に対して何か力になれたらという気持ちがある人…。
具体的に、これまでお会いしてきた方々の中にも、次のような方がいらっしゃいました。

  • 長田がおもしろいまちになればと思っており、何か役に立てないかという想いがある
  • まちの課題解決に貢献したいが、どこから関われば良いか決めかねている
  • 自発的に飛び込んでいくというよりは、声を掛けてもらえたら行く
  • 熱い想いを持った人の役に立てることが好き

その他、長田区に視察に来る学生さん(震災復興や多文化共生、地場産業などのテーマでよく視察・研究があります)がプレイヤーの人とつながりまちに入り込む良い機会にもなりますし、長田への移住を検討している人に紹介するツールにもなりうると考えています。
このような人たちは、少しだけ後押しがあれば活動に参加でき、より深くまちの魅力に触れ、長田への愛着を持つことができる可能性があります。

活動を公開する&活動参加のきっかけを作るために

活動の公開と、参加のきっかけ作り。両輪を実現する方法は色々考えられると思いますが、私たちが想定しているものの1つが、地域通貨の活用です。

活動を主催している側の人は地域通貨(ポイント)を与える側になることで、活動の存在をPRし、参加者を集められる。
もう少しまちに関わりたいと考えている人は、ポイントを集めることを名目に、さまざまな活動に顔を出してみる・体験してみることができる。
集まったポイントを使う場所として、長田には多くの商業店舗が存在しています。
そして、区役所は独自のネットワークを持っており、上記3者のいずれとも対話していくことができます。
成功させるためのハードルは様々あるかと思いますが、長田には成功させる土壌がすでにできているのではないかと考えています。一緒にハードルの乗り越え方を考え、試行錯誤できるとありがたいです。

1月17日のニュースに、暗い話題はもう必要ない、と思っています。
ここにはもっともっと報道に値する、素晴らしい人や場所や活動が存在しているのです。
長田の誇りを取り戻すため、お力を貸していただけませんか?

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Outline

背景

人口減少率9区中最高、出生数9区中最少、高齢化率9区中最高(3人に1人が65歳以上)、空き家率9区中最高(5~6軒に1軒が空き家)等々…長田区にまつわるデータはどれも厳しいもので、都心から近い好立地にも関わらず、不動産会社の発表する「住みたいまちランキング」では常に市内9区中最下位となっている。

しかし、データにはなかなか表れないような、下町的な人間関係が根付いているというエピソードが豊富に聞かれ、多様な人々が助け合いながら暮らしている様子が見られる。近年、そのような人間関係の魅力に惹きつけられたアーティストやクリエイターなど多様なプレイヤーが長田で活動・移住し、出会うことで、互いの得意分野を活かして自分たちでまちの課題を解決する事例も見られている。

今後、行政側の職員の減少や予算の減少が見込まれる一方で住民ニーズは多様化していく中、こうした区民自らによる課題解決の動きを加速させることが非常に重要である。

課題(詳細)

統計調査だけでなく、社会調査のアンケートにおいても、「地域を自分の手で良くしたい」「地域の文化や景色を残したい」「地域住民は愛着を持っていると思う」「この地域の一員だと感じる」といった項目で、長田区が9区中最も低い結果が出ている。
長田に愛着がないわけではないが自己肯定感が低く、まちに対する当事者意識が低い現状が読み取れる。このような区民は、近年多く見られるアーティスト・クリエイター層の長田区への移住や活動を知らないと考えられる。

また、まちのプレイヤー同士も、それぞれのコミュニティに集まる人がすでに一定いるため広報に力を入れる必要性に迫られておらず、コミュニティを超えた横のつながりもあまり見られない。長田に愛着を持ち、まちをより良くしていこうという動きを大きくしていくためには、どのような活動がされているのかを公開し、市民参画の動きを加速していくことが必要である。

求める解決策 区内でどのような活動(商業的なものも含む)が行われているかを集約・公開し、その活動に協力・参加しやすくする。活動の公開や参加の促進にあたり、地域に関する活動に参加したい人と、活動を持っている人・これから始めようとする人をつなぐ仕組みがあると良い。
想定する実証実験内容(詳細) 対象:まち・地域に関わってみたい、長田の力になりたいと思っているが、どこから始めて良いか分からない人や、企画をするまでではないが、企画やイベントがあれば参加したい学生など。また、地縁団体に関わると負担が大きそうなので手軽に地域に関わってみたいと思っている人をターゲットに、下記のような手法で参加を促すような実証。
手法例:地域通貨の活用などのデジタル技術を、長田区まちづくり課でも実施するイベントや地域の方の活動と連動し、新規参加やコミュニティ同士の交流加速が行われるかを実証する。
範囲:長田区、特に新しいことを受け入れやすい土壌のある南部エリア
協力団体例:ふたば学舎内資源回収ステーション(エコエコ広場)、地元企業数社、地元店舗、「長田区地域づくり活動助成」交付団体
実証実験成功後の発展性 ①地域に貢献しながら生活していくスタイルはウェルビーイングな生き方やSDGsの理念とも相性が良いため、提案や実証次第では実証後の導入を目指していきたい。
②まちづくりに市民参画が欠かせないという流れは全国どこの地域でも起きているもので、実績を元に他自治体への展開がありうる。
③長田には全国レベルで発信力の高いプレイヤーの方も存在しており、成功した場合に広報効果が期待できる。
提案企業に求める専門性 ・実証を通して市民やコミュニティ同士のコミュニケーションや交流が増える・加速する仕組み
・コミュニティのもつ資源や交流を可視化できるようなサービス・ツール
・ツールを市民に導入していく上でのワークショップ・説明などの工夫
プロジェクトの進め方打合せ方法 打合せの回数の指定はありませんが、緊密に連絡が取れる体制を構築できると嬉しいです。オンライン会議(Zoom)対応可能です。ぜひ一度は長田をご案内させてください(こなもん、ベトナム料理、焼肉が美味しいです!角打ちや銭湯・サウナもあります)。
提供可能なデータ・環境等 ・地域とのコミュニケーションは区役所の方でカバー・サポートが可能。
・長田区内で活動する団体情報や団体との連携
・長田区内で実施されるイベント情報及び連携
・区民およそ20名へのインタビューシート
・区役所前芝生広場や7階区民ギャラリーといった区役所施設
プログラム終了後の本格導入 本格導入ができると断言はできませんが、ある程度長期的に実施しないと効果が出てくるものではないと思うのでR5年度の予算要求はしていく予定。