Urban Innovation JAPAN


周南市 道路課

全長1,200kmの市道メンテナンスを官民まるごとDXしたい!

採択企業
  • あっとクリエーション株式会社

Point

解決したい課題

市道の修繕等に関する対応は、アナログ的な対応処理で保存・活用する仕組みがなく、経験も蓄積されない状況であり、一連の処理をデータ化して、他の現場や将来に繋げたい。

想定する実証実験

既存の道路修繕の通報アプリの機能に加えて、通報、指示、施工、完了、報告等の流れをデータ化した上で、活用できるシステムを構築し、現行の修繕工事現場にて試行する。

Story

膨大な量のインフラに対するメンテナンスに大胆なカイゼンを!

 現在、山口県周南市では、約1200km、一本道に繋げると、周南市から秋田県まで到達する道路インフラを限られた人数で管理しています。

 主に高度経済成長期に整備されたこれらインフラの老朽化の波は急速に押し寄せていることから、苦情や修繕要望は年々増大するとともに、その内容は、複雑化・多様化しています。一方、対応のための本市の予算や職員数は減少傾向になっており、従来の体制や方法での対応では限界があります。

 こうした現状を踏まえながら、私たちは従来のやり方にとどまらない、インフラのメンテナンス対応の可能性を議論してきました。その中で、下記3つをまず対応すべき課題と考えています。

  • 現場対応の効率化
  • メンテナンス経験の蓄積・継承
  • 市民への情報発信力の強化
図:周南市道路線網図
図:周南市管理道延長推移(平成元年〜平成25年)

MISSION①:事務作業と受発注者間の連絡をより確実かつ迅速に行い、市民サービスにスピード感を持たせたい!

 本市の道路修繕では、通報や要望を受けた職員が、工事計画を立案し、案件毎に施工業者と個別契約し、対応策を現場・電話・メール・FAX等担当毎に異なった手法で指示し、施工後、完了報告を待つ従来型の手法を取っています。

 要望を受けてから完了までの事務処理や作業行程が非常に多く、解決までに多くの期間と手間(人件費)を要しているのが事実です。職員個人が全速力で対応しても、対応が遅いと市民からの苦情を受けることもしばしばです。

さらに、我々の管理する生活道路では比較的小規模な案件が多いため、指示を受けた施工者が緊急性より作業の効率性を優先し、複数案件をまとめて実施するケースも見受けられます。

 その結果、1案件を見るときめ細やかな対応となっておらず、後手となった対応に対して、市民とのトラブルになるケースもありました。

MISSION②:経験を良好に継承することで最小限の労力で最大限の市民サービスを実現したい!

 昨今の財政状況から道路メンテナンスを担う技術職員の数は年々減少しており、本市道路課では、まだ経験の浅い職員が、日々最前線で考える間もなく対応を迫られています。

 また、良好なメンテンナンスサイクルを回すカギは職員が得た「調整」や「技術的な検討」の経緯といった貴重な経験を財産として蓄積し、他の現場や将来に継承していくことであると考えています。

 しかしながら、現状、本市においては、修繕経過の記録を効果的に保存・活用する仕組みはありません。

 対応の結果は、主に紙ベースで書庫に保存されるため、後の検索は困難になり、職員の異動とともに経緯と対応策の貴重な経験は消えていき、実績が有効活用できていないのが実情です。

MISSION③:通報アプリの機能をアップグレードし、工事予告や工事実施情報を市民にお知らせしたい。

 近年、行政のアカウンタビリティがますます重要視される中で、道路に関する修繕やその他工事の情報を市民に向けて積極的に説明(情報提供)していくことも強く求められています。

 そこで、本市では、平成30年に市民等からの道路修繕箇所の情報提供手段として「しゅうなん通報アプリ」を導入し、通報のあった修繕等について、アプリを通じて結果報告を行うといった、市民との情報のキャッチボールツールを用いて、一定の説明を行っているところです。

 しかしながら、アプリの認知度は未だ十分ではなく、市民からの通報の大半は道路課への電話等の直接的な情報提供となっており、全ての結果説明がシステム化されているとは言えない状況です。

 また、アプリを通じて市民にフィードバックする情報は対応結果のみで、対応に時間を要した場合などは、十分な情報のやりとりとはなっていません。

 そのため、道路に関する修繕情報やその他工事の情報を事前に知ることができない市民は、現場で突然移動を遮られる状況に遭遇し、工事への苦情や問い合わせを受けることも多い状況です。

図:通報アプリの仕組み(啓発パンフレット)
図:通報アプリによる通報の出力事例

DXで道路利用者(市民)、施工者、そして管理者(市)の課題に一緒に取り組みませんか?

私たちは、上記、「現場対応の効率化」、「メンテナンス経験の蓄積・継承」、「市民への情報発信力の強化」の3つ課題解決に向けて、デジタルあるいはデータを活用することで、大きな改善が図れるのではないかと思っています。

 急速な広がり見せるDXの波に乗り、私たちと一緒に新たなインフラメンテナンスサイクルの仕組みをつくり、市民、施工者、行政の三方よしのまちづくりを実現しませんか。

写真:タブレット端末を使用した業務風景
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Vision

実現したい未来

道路の適正で迅速な管理により、市民が安心して暮らせる社会基盤をつくり、業者も適切に対応でき、職員にとっても技術の蓄積となる市民、施工者、行政の三方よしのまちづくりを目指したい。

得られるもの

道路の適正管理は、施設の老朽化をはじめとして全国的な課題であることから、他の自治体への展開が期待できる。
分野も、道路メンテナンスにとどまらず、面的・時系列的な管理が必要な案件に広く横展開が期待できる。

Outline

背景  周南市は約656㎢(東京23区とほぼ同規模)の市域を有し、市道の総延長は約1200kmにも及んでおり、橋梁をはじめ、十分な管理ができない道路施設の老朽化が進んでいる。
このため、市内のあちこちで道路の不具合が生じており、市民からの修繕依頼や苦情が毎日絶え間なく寄せられている。
しかしながら、担当職員の人数は限られている上、経験の浅い若手職員中心による体制で異動の頻度も高く、依頼者や施工業者とのやりとりもその場限りのものとなりがちである。このため、現場での様々な修繕対応の実績はほとんど蓄積されていない状況である。
課題(詳細)  現在、独自の取組みとして、市民がGIS上に修繕個所を示して通報できる「しゅうなん通報アプリ」を使い、市民から位置情報が付いた道路の異常等の通報を受け、対応完了後、結果を報告するシステムを活用している。
 しかし、このシステムは、市民からの通報と市からの結果報告だけのやりとりであり、途中の市から施工業者への指示や業者からの施工対応や報告等は現場での口頭指示や電話等従来型の対応となっており、その対応に時間を要し、市民へのきめ細かな情報提供ができていない。
 また、市と施工業者のやりとりもアナログ的な対応が多く、その場限りのものとなっており、事案の状況や対応の内容が組織としての経験や実績として蓄積できていない状況である。
求める解決策  市民からの通報と市からの結果の報告という単純な情報のやりとりでなく、修繕等の対応の状況を対応途中においても市民に情報提供できる等、きめ細かな対応をする。
 また、通報者、施工業者、市との一連の流れをデータ化し、様々な事案を保存し、活用を図りたい。
想定する実証実験内容(詳細) 以下の想定をもとに、スケジュール・予算等の制約を勘案しながら協議していく。
A,現場対応の効率化 (修繕問い合わせから対応、完了報告までの一連のフローのデジタル化)
1.アプリにより、市民等から位置情報付きの道路の不具合箇所の修繕要望を受取(既存アプリにて実装済)
2.市から施工業者への施工箇所・対応内容の指示(地図連携)
3.業者からの対応(工程・手法等)報告受取 ⇒市の了承・施工業者への追加指示
4.市民への工事等実施の情報提供(地図連携)
5.業者からの対応完了報告
6.対応の評価
7.市民への対応完了報告 (既存アプリで実装済)

B. メンテナンス経験の蓄積・継承
1.上記Aの一連の対応結果をGISに取り込み可能な状態にデータ化する
2.上記B-1のデータを検索・抽出等により加工・活用できるようにする。

C. 市民への情報発信力の強化
上記A・Bのシステムと既存しゅうなん通報アプリとの連携

実証実験成功後の発展性 ・既存の通報アプリや施設管理GISとの連携することで、市内の地区毎の修繕状況やデータ管理による計画策定の基礎資料等、幅広い活用が可能となる。
・道路のメンテナンスの対応は全国の自治体の共通的な課題でもあり、他の自治体への導入も考えられる。
提案企業に求める専門性 ・道路施設の管理
・相互情報伝達システム
・GISの活用ノウハウ
・蓄積データの活用ノウハウ
などに関する知見や技術
プロジェクトの進め方打合せ方法 ・オンライン会議に対応可です。
提供可能なデータ・環境等 ・独自の取組みとして導入している「しゅうなん通報アプリ」のデータ(3年程度)
・市が保有するGIS上の道路データ
プログラム終了後の本格導入 事業費の規模の課題はあるが、課題の解決に繋がると判断できれば、正式導入に向けて、次年度予算に要求したい。

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